導入:テンポランに特化した新シューズの魅力と課題
ASICSから最近登場したソニックブラストは、今年の注目シューズの一つです。このシューズは、マックススタックのテンポスピードモデルとして設計され、ステディペースやマラソンペースのロングラン、インターバルに適した一本。FF TURBO+という新世代のスーパーフォームを採用し、跳ね返りと安定性を両立しています。一方で、スーパーブラストのようなソフトで楽しいライドを求めるランナーには、少し硬めの印象を与えるかもしれません。
このレビューでは、ソニックブラストのスペック、着用感、走行性能を詳しく掘り下げ、ASICSのフラッグシップであるスーパーブラスト、マジックスピード4、そしてNikeのズームフライ6との比較を交えていきます。価格帯も考慮し、日常トレーニングからレースまで、あなたのシューズローテーションにどうフィットするかを検証。重めのランナーやヒールストライカー向けの安定性が強みですが、ニッチなポジションゆえの迷いも感じます。実際に試した感想を基に、2025年のランニングシーンで活躍するかを探ります。
スペック概要:高スタックで安定性を重視
ソニックブラストの基本スペックは、テンポランにぴったりのバランスです。ヒールスタック高は46mm、ドロップ(かかとからつま先までの高低差)は8mmで、足への負担を軽減しながら推進力を生み出します。重量はメンズUS9(日本サイズ約27cm)で約256gと、スタックの高さを考えれば軽量クラス。アウトソールにはASICS GRIPを採用し、ドライ路面でのグリップが優秀です。雨天テストは未実施ですが、最近のASICSモデル同様、信頼性が高いはずです。
ミッドソールは二層構造:上部にFF TURBO+(スーパーフォームでバウンス重視)、下部にFF BLAST MAX(安定性と耐久性をプラス)。これにより、ノヴァブラスト5のようなデイリートレーナーの安定感を継承しています。プレートは軽量ペバックス素材の「アストロプレート」で、カーボンほど硬くなく、プロペルションを穏やかにサポート。幅は標準のみで、ワイド展開はありません。
サイズ感はASICS標準通り。レビューアーは日本サイズ28.5cmで着用し、少し長めに感じましたが、通常サイズをおすすめします。エンジニアードメッシュのアッパーは通気性が良く、軽量タンとヒールカップでフィット感を確保。全体として、ビルドクオリティが高く、見た目も洗練されています。
着用感と快適性:即戦力の快適さ
箱出し直後から快適さが際立つのがソニックブラストの魅力です。アッパーのメッシュ素材は空気の流れが良く、夏場やアップテンポのランでも蒸れにくい。軽量のガセット舌が足をしっかりホールドし、ヒールカップのパッドは控えめながら、ずれを防ぎます。重さを感じさせないフィットで、ヒールストライカーには特にスムーズなトランジションを提供。
一方で、硬めのライドが初めは気になるかも。スーパーブラストのようなソフトさはありませんが、数回のランで体が慣れ、安定した着地感を楽しめます。重めのランナー(体重80kg以上)には、スタックの厚みがクッションとして機能し、地面からの衝撃を吸収。足幅が標準なので、狭めが苦手な方は試着を推奨します。
- メリット:
- 息苦しくない通気性
- 直感的なフィットでブレなし
- ヒールカウンターの安定性
これにより、テンポセッションの集中力を高められます。
走行性能:安定重視のテンポライド
走り心地は「安定したクルージング」がキーワード。10km~ハーフマラソンペースでロックインしやすく、ペース維持に優れます。アストロプレートが推進力を加えつつ、FF BLAST MAXのレイヤーがロールオーバーをサポート。マックススタックシューズ特有の不安定さを排除し、アンクルロールの心配が少ないのが強みです。
ただし、スローペース(イージーラン)では少しクランキー。プレートの影響でトランジションが重く感じ、ノヴァブラストのような滑らかさはありません。アップテンポでこそ輝き、5kmインターバルより20分テンポ向き。硬めのロッカー形状が前足部の推進を助けますが、ソフト派には物足りないかも。
硬さの理由は、FF TURBO+の下にFF BLAST MAXを重ね、プレートを追加したため。結果、耐久性は向上しましたが、バウンスは控えめ。レースデーではエコノミカルですが、フルカーボンプレートのスーパーシューズほど爆発力はありません。
他のモデルとの比較:ポジションのニッチさ
ソニックブラストはASICSラインナップの「中間層」に位置づけられます。スーパーブラスト(非プレート、マックススタック)はより汎用性が高く、ソフトで楽しいランが可能。一方、マジックスピード4はカーボンプレートで高速インターバルに特化。Nikeズームフライ6はバウンシーで多用途です。
以下にキーシューズを比較。重量・クッション性はメンズUS9基準、価格は日本公式RRP(2025年10月時点)。
| モデル | 重量 (g) | クッション性 | 価格 (JPY) | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|---|
| ソニックブラスト | 256 | 硬め・安定 | 22,000 | 安定したテンポ維持、重めランナー向き | スローペースでクランキー、硬さで敬遠されやすい |
| スーパーブラスト | 244 | ソフト・バウンシー | 26,000 | 楽しいロングラン、軽量多用途 | 価格高め、安定性で劣る場合あり |
| マジックスピード4 | 242 | レスポンシブ | 15,800 | 高速ペースで輝く、安価 | 安定性低め、長距離で疲れやすい |
| ズームフライ6 | 248 | ソフト・バウンシー | 16,799 | 汎用性高く楽しい、グリップ良好 | やや重め、安定でソニックに劣る |
- vs スーパーブラスト: ソニックはプレートで推進力アップですが、スーパーのソフトさが日常使いで勝る。ロングセッションならスーパー、テンポ特化ならソニック。
- vs マジックスピード4: ペバックス vs カーボンで、ソニックは長め努力向き。マジックは安く、5K~10Kで優位。
- vs ズームフライ6: ズームのバウンスがエンターテイニングですが、ソニックの安定がヒールストライカーにマッチ。16,799円で多用途。
この比較から、ソニックブラストは「安定テンポ」のニッチを埋めますが、ノヴァブラストで代用可能との声も。
価格とおすすめ:ローテーションの第三のシューズ
日本価格は22,000円と、プレミアムクラス。スーパーブラストの26,000円に対しコスパは良いですが、マジックスピード4の15,800円に負けます。初心者より、上級者の大ローテーション向き。重めランナーや安定重視派に推奨。
- おすすめユーザー:
- テンポ/マラソンペース練習中心
- ズームフライの不安定さが苦手
- ASICSファンでプレート入門
試着必須。ノヴァブラスト(デイリー)と組み合わせを。
結論:ニッチだが光る一本、選ぶなら安定派へ
ソニックブラストはASICSの革新を体現しつつ、硬めライドとニッチポジションで苦戦しそう。スーパーブラストの影に隠れがちですが、安定したテンポランで真価を発揮します。ズームフライ6のような楽しさやマジックスピード4のスピードを求めるなら、他を優先。あなたの大ローテに「安定の第三シューズ」として加える価値あり。2025年、シューズ選びの参考に。どのモデルがお気に入り? コメントでシェアを!


