はじめに
トレイルランニングシューズの新作、HOKA Mafate 5を実際に履いてテストしました。このレビューでは、シューズの特徴、フィット感、性能を詳しく比較し、トレイルでの実走に基づいた本音をお伝えします。特に、Mafate Speed 4やSpeedgoat 6との違いに焦点を当て、どのランナーにおすすめかをまとめます。
モデル概要
HOKA Mafate 5は、トレイルランニング向けに大幅アップデートされたモデルです。ミッドソールはデュアルデンシティ構造で、上層にスーパークリティカルフォームを採用。ヒール部は柔らかく、フォアフット部は少し硬めで、安定性を高めています。スタックハイトはヒール44mm、フォアフット36mmで、8mmのドロップを備えています。これにより、ダウンヒル時の衝撃吸収が向上。一方、Rocker Integrity Technology(RIT)と呼ばれるTPUプレートをフォアフットに挟み込み、メタロッカーの形状を維持します。このプレートは推進力ではなく、安定性とロックプレートとしての役割を果たします。
アッパーはラップニット素材で、通気性が高く、耐久性のあるアンチフレイ処理を施しています。ミッドフットに構造的なオーバーレイを配置し、レーシングアイレット周りやトゥボックスを強化。トゥバンパーも頑丈で、トレイルの保護に優れています。かかと周りはパッド入りで、快適なロックダウンを提供。ただし、タンは薄く非ガセットタイプで、短めです。リフレクティブヒールタブとゲイターアタッチメントも追加されています。
アウトソールはVibram Megagripラバーで、5mmの多方向ラグパターンを採用。さまざまな地形やコンディションで優れたグリップを発揮します。重量は315g(27cm/US9)と、ボリュームのあるシューズとしては妥当ですが、履くとバランスが良く軽く感じます。
フィットと快適性
サイズ感は少し小さめなので、ハーフサイズアップをおすすめします。例えば、通常UK9.5のところをUK10にすると、トゥルームが十分に確保され、長距離ランでもつま先の擦れを防げます。ミッドフットとヒールのロックダウンはしっかりしており、安定したフィットを提供。薄いタンも心配していましたが、レースが食い込むことなく快適でした。アッパーのボリュームはHOKAの他のモデルに比べて広く、足の幅が広いランナーにも適しています。
テストランでは、約3.2km時点でフィットを確認しましたが、問題なく快適。全体として、トレイルのテクニカルセクションでもずれにくく、かかと周りのパッドがサポートしてくれます。一方で、長距離でタンの薄さが気になる可能性があるので、注意が必要です。
性能評価
初回のテストランで約12kmを走行しましたが、予想以上に快適でした。デュアルデンシティミッドソールのおかげで、ヒール部の柔らかさがダウンヒル時の衝撃を吸収。特に、足底筋膜関連のトラブルを抱えている場合に有効です。フォアフットの硬さはテクニカルトレイルで安定感を与え、RITプレートがロッカーを維持しつつ、軽いロックプレートとしても機能します。ただし、このプレートが若干の硬さと重量を加えているため、なくても良いかも知れません。
グリップはVibram Megagripのラグが優秀で、コンパクトなトレイルや軽いマッドでも滑りませんでした。全体の乗り心地はバランスが良く、重量を感じさせません。ドロップが8mmと高めなので、慣れないとヒールが高く感じるかもですが、クッション性が高いため長距離向きです。ペースは約5:07〜5:17分/km程度で、フラットではスムーズに感じました。
他のモデルとの比較
Mafate 5は、前作Mafate Speed 4と比べてドロップが高く(5mmから8mm)、クッションが増えています。一方、Speedgoat 6は硬めの乗り心地で、Mafate 5の方が柔らかく快適。Challenger ATR 7はより軽量でハイブリッド向きですが、Mafate 5はトレイル特化です。以下に主な比較をまとめました。
| モデル | クッション性 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| HOKA Mafate 5 | 高(ヒール44mm/フォアフット36mm、柔軟なデュアルデンシティ) | 衝撃吸収優秀、安定性高く長距離向き。通気性と耐久性◎ | ドロップ8mmが高め、重量315g(27cm/US9)でやや重い。プレートが硬さを加える |
| HOKA Mafate Speed 4 | 中(ヒール33mm/フォアフット28mm、低ドロップ) | 軽量293g(27cm/US9)で敏捷性高く、グリップ優秀 | クッションが薄めで、衝撃吸収が劣る |
| HOKA Speedgoat 6 | 高(ヒール40mm/フォアフット35mm、硬めフォーム) | 多様な地形で安定、重量278g(27cm/US9)と軽い | 硬くリジッドで、柔軟性が不足。快適さが低い |
これにより、Mafate 5はSpeed 4の軽さとSpeedgoat 6のクッションを組み合わせたような位置づけです。
おすすめポイント
- トレイルのテクニカルセクションで安定を求めるランナー
- 長距離ウルトラ向けのクッションを重視する人
- 足のトラブルを抱え、柔らかいヒールが必要な場合
改善点として、ドロップを5mmに戻し、タンにパッドを追加、重量を20〜30g減らせばさらに良くなるでしょう。
まとめ
HOKA Mafate 5は、トレイルランニングの信頼できるパートナーとしておすすめです。クッションとグリップのバランスが良く、初回ランで好印象でした。あなたはどのモデルを選びますか? コメントでシェアしてください。