はじめに
このレビューでは、Brooks Hyperion Elite 4 PBをメインに取り上げ、ロードランニング向けのレーシングシューズとしてその性能を詳しく検証します。PEBAベースの新フォーム「DNA Gold」を採用し、従来モデルから大幅にアップデートされたこのシューズは、5kmからマラソンまで対応する汎用性が高く、ヒールストライカーに向いたデザインが特徴です。一方で、他のスーパーシューズとの比較を通じて、強みと弱みを明らかにします。
モデル概要
Brooks Hyperion Elite 4 PBは、Brooksのフラッグシップレーシングシューズとして進化を遂げました。ミッドソールにPEBAベースのDNA Goldフォームを搭載し、エネルギーリターンを大幅に向上させています。ヒールスタックは38.5mm、フォアフットは26.8mmで、ドロップは11.7mmと高めです。これにより、ヒールストライカーに適したクッション性を提供します。
- ミッドソール: DNA Goldフォーム(柔らかさ19.5 HA)。PEBA素材により、ヒールで67.1%、フォアフットで71.8%のエネルギーリターンを達成。
- プレート: SpeedVault+カーボンプレート。切れ込みデザインで軽量かつ剛性が高く、推進力を強化。
- アウトソール: ラバー配置と露出フォームの組み合わせで、耐久性と軽さを両立。厚さ2.6mm、摩擦係数0.55で優れたグリップ。
- 重量: 27cm (US9) で197g。従来モデルより12%軽量化。
- アッパー: 通気性の高いメッシュ素材。顕微鏡下で確認できる薄さで、夏のレースに最適。
このシューズは、Brooksファン待望の真のスーパーシューズとして位置づけられ、耐久性もレーシングモデルとしてはトップクラスです。
ラボテスト結果
ラボテストでは、Hyperion Elite 4 PBの各要素を詳細に測定しました。衝撃吸収性はヒールで148 SA、フォアフットで102 SAと優れており、関節保護に寄与します。特に、冷温下でのミッドソール硬化率はわずか3%と、PEBAの安定性が際立ちます。
- 柔軟性と剛性: 縦方向の剛性は24.0N、ねじり剛性は5/5。カーボンプレートが推進力を支えつつ、 rocker形状でスムーズなトーオフを実現。
- 安定性: フォアフット幅111.0mm、ヒール幅75.4mmと狭めで、敏捷性を重視。ヒールカウンターの剛性は2/5と柔らかく、軽快な乗り味。
- 耐久性: トゥボックス耐久性2/5、ヒールパディング5/5、アウトソール摩耗1.0mm。レーシングシューズとして優れた耐久性を発揮。
- 通気性: 煙テストで5/5。大型の通気孔が足を涼しく保ち、長距離ランに適す。
- その他: インソール厚2.3mm(取り外し可能)、タンパディング5.6mm。反射材なしで夜間レース向きではないが、指ループ付きヒールタブで着脱容易。
これらの結果から、Hyperion Elite 4 PBはスピードと耐久性をバランスよく備えたシューズであることがわかります。一方で、狭いトゥボックス(最大幅91.3mm、大つま先部71.0mm、高さ26.4mm)は広足ランナーには不向きです。
フィットと快適性
フィット感は真のサイズ通りで、狭めの設計がレース時のロックダウンを強化します。アッパーのメッシュは極薄で、通気性が抜群。タンはノングセッテッドタイプですが、レーシングシューレースループでずれにくいです。
- 適したランナー: 過去のHyperion Eliteにバウンス不足を感じていた人、非NikeのVaporfly似シューズを探す人、ヒールストライカーで耐久性を求める人。
- 不向きなランナー: フォアフット/ミッドフットストライカー(高ドロップのため)。狭いトゥボックスがマラソンで不快になる広足ランナーには、New Balance FuelCell SuperComp Elite v4やSaucony Endorphin Pro 4を推奨。
- 使用感: ヒールストライカー向けの高いドロップが、安定したロールを促進。ミッドフットサイドウォールが軽いサポートを提供しますが、全体的に不安定さを感じる人もいるかも。
快適性はレーシングシューズとしては高く、5kmから42kmのレースで活躍します。
パフォーマンスと使用シーン
Hyperion Elite 4 PBのパフォーマンスは、PEBAフォームとカーボンプレートの組み合わせで際立ちます。ロッカーデザインがトーオフをスムーズにし、SpeedVault+プレートが推進力をブースト。5kmからマラソンまで対応し、特にヒールストライカーに最適です。
- クッションとエネルギー: ミッドソールはバランスよく柔らかく、沈み込みを防ぎつつ活発なライドを実現。エネルギーリターンは平均を上回り、真のスーパーシューズに匹敵。
- グリップと耐久: アウトソールデザインがシャープなターンで優位。耐久性が高く、トレーニング兼用も可能。
- 安定性と弱点: 狭いプラットフォームで敏捷性が高いが、不安定さを感じる場合あり。軽量化が進んだが、さらに軽い競合に劣る点も。
- おすすめシーン: ロードレース全般。夏用として通気性が活きる。トライアスロンにもヒールタブが便利。
全体として、Brooksの忠実ファンに待望のモデルですが、トップスーパーシューズから一歩及ばない部分もあります。
比較テーブル
| モデル | クッション | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| Brooks Hyperion Elite 4 PB | 柔らかめ(19.5 HA) | PEBAフォームの優れたエネルギーリターン、通気性抜群のアッパー、耐久性が高い、5km〜マラソン対応、ヒールストライカー向き、重量27cm (US9) で197g | フォアフットストライカー不向き、狭いトゥボックス、不安定さを感じる場合あり、軽量化の余地あり |
| PUMA Deviate Nitro Elite 3 | 柔らかめ | 軽量で競争力が高い、ミッド/フォアフット向き、耐久性良好、重量27cm (US9) で204g | 安定性に欠ける場合あり、ヒールストライカー不向き |
| HOKA Rocket X 3 | 柔らかめ | ロッカー形状でスムーズな推進力、幅広い用途、重量27cm (US9) で220g | 重量がやや重め、安定性重視でない |
| New Balance FuelCell SuperComp Elite v5 | 柔らかめ | レスポンシブなPEBAフォーム、トゥボックスが広い、重量27cm (US9) で198g | ヒールストライカー向きでない場合あり |
このテーブルから、Hyperion Elite 4 PBは耐久性と通気性で優位ですが、フィットやストライクパターンで選択が変わります。
結論
Brooks Hyperion Elite 4 PBは、ようやくPEBAフォームを搭載し、真のスーパーシューズとして進化したモデルです。エネルギーリターン、耐久性、通気性が強みで、ヒールストライカーやBrooksファンに特におすすめ。競合と比較しても、5kmからマラソンまでの汎用性が高く、安定したパフォーマンスを発揮します。ただし、狭いフィットや高ドロップが合わない人は他の選択肢を検討を。一方で、軽さと安定性のバランスが今後の改善点です。あなたはこのシューズでPB更新を目指しますか?