このレビューでは、HOKAのCielo X1 2.0を徹底的に検証します。このシューズは、HOKAのラインナップの中で最高のランニングシューズだと評価されており、特に速さを追求するレーサー向けです。テスト結果に基づき、特徴や性能、比較を詳しく解説します。
シューズ概要
HOKA Cielo X1 2.0は、ニュートラルなロードレーシングシューズです。重量は27cm(US9)で208gと、競合に比べてやや重めですが、軽快な走りを可能にします。 スタックハイトはリア40mm、フォア33mmで、ドロップは7mm。全体として、速さと快適さを両立した設計が特徴です。
- カテゴリ: ロードレーシング(ニュートラル)
- 重量: 208g(27cm/US9)
- ドロップ: 7mm
- スタック: リア40mm / フォア33mm
このシューズは、速いペースでの走行を想定しており、競技志向のランナーに適しています。
アッパーの特徴
アッパーにはVapor Weave素材を使用しており、細かいメッシュのような感触でプラスチック調の硬さがあります。柔軟性は低めですが、ビルドクオリティは優れています。ヒールカウンターはしっかりしており、アキレス腱部分にフレアがあり、ヒールカラーのパディングは最小限ですが、レーシングシューズとしては十分です。
タンは薄く、ストレッチ素材で汗を吸収しやすいものの、ガセットはありません。それでもタンのずれはなく、ロックダウンは抜群。ミッドフットが完璧にフィットし、ヒールスリップも発生しません。フィットはパフォーマンス志向でややタイトですが、不快感はなく、トゥボックスのボリュームも適切です。
ただし、通気性が低いのが欠点。レース中、空気の流れが少なく足が冷えにくいため、暑い条件では注意が必要です。全体の快適さは高く、ステップイン時のインパクトも強いです。スコア的には、通気性の欠如が惜しい点です。
- メリット: 優れたロックダウンとフィット感
- デメリット: 通気性が不足
アウトソールの性能
アウトソールにはSticky Rubberを採用しており、Rocket X3でも使用された柔らかくタッキーなコンパウンドです。ドライコンディションで優れたグリップを発揮します。ウェット時も改善が見られますが、最高レベルのグリップには及びません。
耐久性は良好で、フォアとリアに多少の摩耗が見られますが、レーシングシューズとして問題ありません。面白い点は、ミッドソールのフォームが集中する中足部にラバーがない設計で、多くのランナーがここをストライクする可能性があります。全体のパフォーマンスは十分で、信頼性が高いです。
- グリップ: ドライで優秀、ウェットで改善中
- 耐久性: レーシング用途に適したレベル
ミッドソールの構造とライド感
ミッドソールはデュアルデンシティのPEBAフォームで、両方がスーパーフォームです。上層(ブルーの光沢層)は柔らかくバウンシーで、ミッドフットからフォアに集中。下層は硬めで安定性と耐久性を追加します。間にフルレングスのカーボンプレートを挟み、リアにフォーク状のデザインとカットアウト、ウィングで剛性を調整。プレート自体は柔軟ですが、ウィングが剛性を高めています。
ジオメトリーはMizuno Wave Rebellion Pro 1を思わせるアグレッシブさ。リアのヒールベベルが強く、フォームが中足部に集中し、フォアロッカーが早めに始まります。ライドは超高速で、Puma Fast-R Nitro Elite 3に次ぐ推進力。フォームのバウンスとジオメトリーの組み合わせがスピードを生みます。
最適な使用は、ハーフマラソンペース(3分45秒/km以内)で、中足部ストライク時。リアストライカーや低速ではロッカーが逆効果になる可能性があります。コーナリング時の安定性がやや低いのが欠点ですが、全体としてレスポンシブで快適です。
- 最適ペース: 5km〜ハーフマラソン
- 注意点: マラソンではサブ2:50レベルの強靭なランナー向き
比較とおすすめ
このシューズを他のモデルと比較します。以下は主なレーシングシューズの比較表です。各モデルの重量は27cm(US9)基準です。
| モデル | クッション性 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| HOKA Cielo X1 2.0 | デュアルPEBAフォーム(柔軟+硬め) | 高速推進力、優れたロックダウン | 通気性低く、安定性に欠け、重め |
| HOKA Rocket X3 | 類似PEBAフォーム | 安定性が高く、多様なペース対応 | ジオメトリーが控えめ |
| Adidas Adizero Adios Pro 4 | Lightstrike Proフォーム | 軽量で広いペースレンジ | リアがやや不安定 |
| Puma Fast-R Nitro Elite 3 | Nitro Eliteフォーム | 最軽量で最高の推進力 | ジオメトリーがアグレッシブすぎる |
- HOKA Rocket X3(重量207g): ジオメトリーが穏やかで安定性が高い。Cielo X1 2.0の激しさが苦手ならおすすめ。
- Adidas Adizero Adios Pro 4(重量200g): 早いフォアロッカーで軽量。幅広いペースで使える。
- Puma Fast-R Nitro Elite 3(重量170g): 最も速く軽い。拡張カーボンプレートが優位。
これらのモデルは、速さを求めるランナーに適しています。Cielo X1 2.0は純粋なスピードで勝負。
まとめ
HOKA Cielo X1 2.0は、HOKAのベストシューズとして輝きます。高速ライドと推進力が魅力ですが、通気性や安定性の改善余地があります。5kmからハーフマラソンで活躍し、中足ストライカーに特におすすめ。比較モデルから選ぶ際は、自分の走り方に合ったジオメトリーを優先しましょう。あなたにぴったりの一足が見つかるはずです。
参考資料






