ASICS MegaBlast実走レビュー:競訓両用シューズの真価🏃‍♂️

ASICSのBlastシリーズに新たに加わったMegaBlastは、NovaBlastやSuperBlastの系譜を継ぎながら、無炭素プレートで軽量かつ高反発を実現したモデルだ。このシューズは、トレーニングと競技の境界を曖昧にし、幅広いペースに対応するハイブリッドとして位置づけられる。レビュアーは120km以上を実際に走行し、日常のトレーニングからレースまでを検証した。結果として、MegaBlastは柔軟なクッションと安定性を兼ね備え、初心者から中級者までをサポートする一方で、フィット感の微妙な不一致が課題となることが明らかになった。従来の炭素プレートシューズを避けたいランナーにとって、ASICSの最新フォーム技術FF Turbo Squaredがもたらす快適さが魅力だ。レビュアーのローテーションにはHyper Speed 4やNovaBlast 5、Tarther 6が並び、MegaBlastはこれらを補完する形でASICS統一のラインナップを完成させる。海外レビューでSonicblastの評価が低かったためMegaBlastを選択した経緯も、慎重なシューズ選定の重要性を示唆する。このレビューでは、着用感から走行性能、比較までを詳しく探り、ランナーが自身のスタイルに合った一足を見極める手がかりを提供する。全体として、MegaBlastは回弾性と安定のバランスが取れたシューズとして、日常のランニングシーンに革新をもたらす可能性を秘めている。


:light_bulb: モデル概要

MegaBlastはASICSのBlastファミリーの最新作として、NovaBlastやSuperBlastに続く存在だ。このシリーズは伝統的に、トレーニングと競技の両方をカバーするポジションを確立しており、MegaBlastもそのコンセプトを踏襲している。無炭素プレートながら、ASICSのトップフォームを搭載した点が特徴で、ランナーが炭素プレートに頼らず軽快な走りを求めるニーズに応える。レビュアーは昨年から炭素プレートを避け、軽量で回弾性のあるシューズを探していたため、このモデルを選んだ。同時発売のSonicblastは海外の評価が芳しくなく、MegaBlastの選択は理にかなった判断だったと言える。スタックハイトはヒール45mm、フォアフット37mmと厚底ながら、ドロップ8mmでバランスが取れている。アッパーは競速シューズ風の編み込みメッシュで、通気性を高めている。大底にはASICSGRIPを採用し、グリップ力と安定性を強化。レビュアーのランニングスタイルは全馬3時間半程度のペースで、触地時間が長いタイプだが、MegaBlastはこうした中級者向けに適した設計だ。27cm(US9)の重量は約224gと軽量で、日常トレーニングからレースまでをシームレスに繋ぐ。ASICSの他のモデルとの統一感を重視した選択肢として、MegaBlastはシリーズの進化を体現している。


:running_shoe: アッパーとフィット感

MegaBlastのアッパーは、競速シューズでよく見られる編み込み合成メッシュを採用し、軽さと通気性を両立している。第一弾の配色は赤紫のグラデーションで派手だが、適切なソックスを選べば意外にマッチする。レビュアーはNovaBlast 5より視覚的に優れていると感じたが、低調な色合いを好む人には馴染みにくいかもしれない。版型はASICSの伝統的な広め楦頭を期待すると、やや狭く感じる。レビュアーの場合、大拇指と小拇指の外側が当たるため、幅広の足型には注意が必要だ。中足部も高アーチの足には圧迫感があり、薄型のガセットタンが滑り落ちやすい。長時間の走行でタンが皺になり、足背を圧迫する問題が発生し、途中で調整を強いられることがあった。タン中央の孔にシューレースを通すことで改善されたが、完全解決には至っていない。ヒール部分はパッドの厚さが適度で、安定した包み込みを提供し、刮脚や踵抜けを防ぐ。硬めのヒールカップが厚底の安定性を支え、トレーニング要素を強調する。全体として、フィットは標準幅の足に最適だが、幅広ランナーは0.5cmアップを検討すべきだ。レビュアーはレース後、水ぶくれや赤腫れを経験し、足型との相性を再考した。


:gear: ミッドソールとフォーム技術

MegaBlastのミッドソールはASICSの最新技術FF Turbo Squaredをフルレイヤーで使用し、Metaspeed Tokyoと同じトップフォームだ。前代FF Turbo比で反発力が30%、柔軟性が10%向上したとされる。レビュアーは反発力に劇的な変化を感じなかったが、柔軟性の向上は顕著で、硬めの感触が数kmで軟化し、長距離でも快適になった。触地時間が長いランナーにとって、従来のASICS競速シューズの硬さが負担だったが、MegaBlastはそれを解消する。ASICSは同時にFF LeapをMetaspeed Rayに導入し、活発な回弾を実現しているが、MegaBlastは安定重視のTurbo Squaredを選択。厚底無板設計で不安定さを避け、トレーニング向きのバランスを取っている。レビュアーはMetaspeed Rayを試着し、FF Leapのポップさを確認したが、MegaBlastの落ち着いた特性が長距離に適していると結論づけた。エネルギー返却率はヒール73%、フォア73.8%と高く、多様なペースに対応する。フォームの進化はASICSの戦略を反映し、MegaBlastを競訓両用の基盤とする。


:person_running: 走行フィール:低速から高速まで

MegaBlastの走行感は、初めの硬さが徐々に柔らかくなるブレイクイン過程が特徴だ。6分/kmペースの長距離では違和感なく推移し、疲労を抑える。低速域ではクッションの柔軟性が活き、トレーニングに適する。一方、高速域では期待した即時回弾が控えめで、無板の限界を感じる。レビュアーはAdizero EVO SLのようなパチンとした反発を求めていたが、MegaBlastはローリング性を重視。重心を前傾させると自然にステップが上がり、高ケイデンスで速度を維持できる。疲労時、步幅を短くして頻度を高めると、シューズの推進力が発揮され、省力的な走りが可能になる。Tarther 6との400mインターバルテストでは、高速部で同等、回復部でMegaBlastが優位を示した。疲労蓄積を抑え、全体ペースを安定させる点が強みだ。レビュアーの步幅型スタイルでは初め違和感があったが、ケイデンス重視にシフトすることでフィールを掴んだ。MegaBlastは可快可慢の幅広さを持ち、ASICSのSuperBlastに続く成功作と言える。


:bar_chart: 他モデルとの比較

MegaBlastの位置づけを理解するため、他モデルとの比較は欠かせない。SuperBlast 2は安定性が高く、耐久性に優れるが、27cm(US9)で252gと重めで、フィットがタイトだ。一方、MegaBlastは224gと軽量で、レスポンスを向上させ、次世代の王者候補となる。NovaBlast 5はプッシュ感が強く、幅広対応だが、通気性が劣る。27cm(US9)で254gと似た重量ながら、MegaBlastの回弾性が優位だ。Adizero EVO SLは223gの軽さとポップな反発が魅力だが、耐久性が低く、水ぶくれのリスクがある。MegaBlastはスタック厚で長距離に強く、短距離の爽快感ではEVO SLに譲る。Metaspeed Edgeとのペアリングは高ケイデンスランナーに推奨され、MegaBlastがトレーニング代替として機能する。レビュアーのローテーションではHyper Speed 4(210g)の軽量レーサー、Tarther 6のインターバル用とMegaBlastが補完し合う。全体として、MegaBlastは板なし最高峰のバランスを誇る。

モデル 重量(27cm) スタック(H/F) 主な技術 特徴 弱点
MegaBlast 224g 45/37mm FF Turbo Squared 軽量・万能・ローリング性強 狭楦・回弾控えめ
SuperBlast 2 252g 45/37mm FF Turbo+ / Blast+ 安定最高・耐久性 重め・フィットタイト
NovaBlast 5 254g 41/33mm FF Blast Max プッシュ感・ワイド 通気性低
Adizero EVO SL 223g 36/28mm Lightstrike Pro ポップ・軽量 耐久低・不安定

:magnifying_glass_tilted_left: 大底と耐久性

MegaBlastの大底はASICSGRIPを採用し、市販トップクラスのグリップ力を発揮する。ウェットやドライ路面で安定し、120km走行後も摩耗がほとんど見られない。ラボ値で0.9mmの耐久性が高く、長距離向きだ。厚底ながらツイスト剛性が5/5と堅牢で、初心者や炭素プレート避け派に適する。レビュアーはレース代替として使用可能と評価し、中級者向けの安定性を強調。グリップの優秀さが全体の信頼性を高め、ASICSの旗艦モデルに匹敵する。


:thinking: メリットとデメリット

MegaBlastのメリットは、柔軟クッションと高ケイデンス推進力がもたらす万能性にある。長距離で疲労を抑え、インターバルで省力を発揮する。一方、デメリットは狭い楦頭とタンの滑り落ちで、幅広足型には不向き。レビュアーはレース後の摩擦傷を指摘し、サイズアップを勧める。回弾の期待値が高かったが、無板の限界を考えると妥当だ。生産量の少なさが市場での入手性を悪化させる点も、潜在的な課題となる。


:bullseye: 総評とおおすすめ

ASICS MegaBlastは、無板最高峰の競訓シューズとして、柔らかクッションとローリング性を武器に輝く。SuperBlastの軽量進化版として、トレーニングからレースまでをカバーする。万能派やASICSファン、高アーチの標準幅ランナーに最適だが、超幅広足型は試着必須。業界の未来として、フォーム技術の進化が炭素プレート依存を減らし、多様なランナーを支える可能性を示唆する。MegaBlastはランニングの楽しさを再発見させる一足だ。


参考資料