サロモン S/LAB Pulsar 4 は、同社のアイコン的存在であるトレイルランニングシューズを再構築したモデルだ。このシューズは、先進的な技術を活用し、デュアルフォームのクッションで推進力を高め、特殊設計のアウトソールで優れたグリップを実現している。軽量で足にフィットする構造が、トレイルでの精密さとスピードを追求するランナーに向いている。本記事では、ビルドクオリティからパフォーマンスまでを詳しく分析し、このシューズがトレイルランニングの新たなスタンダードとなり得るかを探る。
概要
サロモン S/LAB Pulsar 4 は、S/LAB シリーズの最高峰として位置づけられるトレイルランニングシューズである。軽量性を重視した設計が特徴で、トレイルでの敏捷性を高めるために様々な技術が投入されている。このシューズは、ミドルディスタンスのレースを想定しつつ、経験豊富なランナーであればより長い距離にも対応可能だ。デュアルフォームのミッドソールが推進力と安定性を両立させ、アッパーの構造が足をしっかりとホールドする。トレイルの多様な地形に対応するためのグリップ力も強化されており、ランナーのパフォーマンスを支える基盤となっている。
- スペック:
- 重量: 252g (27cm, US9)
- スタックハイト: ヒール35mm、フォアフット29mm
- ドロップ: 6mm
- アッパー: Matryx素材、Quicklaceシステム、ガセットタン
- ミッドソール: Energy Foam+ (PEBAトップレイヤー、EVAキャリアレイヤー)
- アウトソール: Contagripラバー、3.5mmラグ
これらの要素が組み合わさることで、シューズ全体が軽快でレスポンシブなフィーリングを生み出している。トレイルランニングの進化を象徴する一足として、注目に値する。
ビルドクオリティ
サロモン S/LAB Pulsar 4 のビルドクオリティは、同社のフラッグシップモデルにふさわしい水準を維持している。Matryxアッパーは強靭で軽量、かつ通気性に優れており、足を包み込むようなフィット感を提供する。この素材はトレイルの厳しい環境下で耐久性を発揮し、TPUオーバーレイがトゥ部分やサイドを補強して構造を強化している。ヒール周りのパディングは控えめだが、十分な柔らかさを持ち、プレミアムな感触を与える。
Quicklaceシステムは足を確実に固定し、過度な締め付けを必要としないため、全体の快適性を高めている。ミッドソールはPEBAトップレイヤーとEVAボトムレイヤーのデュアル構造で、推進力と安定性を両立。インソールは一体化されており、シームレスなフィーリングを実現している。アウトソールにはContagripラバーを採用し、3.5mmのラグが多様な地形に対応する。このような素材と構造の選択は、サロモンがトレイルシューズの頂点を追求した結果であり、全体として高い耐久性と機能性を備えている。トレイルでの長期使用を考慮した設計が、ランナーの信頼を獲得する基盤となっている。
快適性
快適性において、サロモン S/LAB Pulsar 4 はレース指向のシューズとしてバランスを取っている。スリムなフィットが特徴で、足をしっかりとホールドし、トレイルでの安定感を高める。パディングは最小限に抑えられているが、ヒールとアンクル周りの素材が柔らかく、摩擦を軽減する。ガセットタンは伸縮性のある生地で両側を固定し、通気性を保ちつつ異物の侵入を防ぐ。
ミッドソールはクッション性とトレイルとのつながりを両立させており、足をクレードルするような感覚を提供する。アーチ部分でミッドソールがわずかに上昇し、足の固定を助けている。この構造は、長時間のランでも疲労を抑え、ブリスターの発生を防ぐ効果がある。ただし、フィットがスリムであるため、幅広の足には適さない可能性がある。着用時の難しさはあるが、一度足を入れればロックインされた状態となり、ダイヤルされた快適さが持続する。全体として、敏捷性を優先した快適性が、トレイルランニングの醍醐味を高めている。
パフォーマンス
パフォーマンス面で、サロモン S/LAB Pulsar 4 は高い評価を得ている。トレイルでのランでPRを更新するほどの速さを引き出すシューズとして機能し、ランナーを励ますようなフィーリングを提供する。アッパーのフィットが足をサイドから固定し、横ずれを防ぎ、PEBAトップレイヤーがバウンシーでレスポンシブな推進力を生む。EVAキャリアレイヤーは安定性を確保し、トレイルの凹凸に素早く対応できる。
トレイルとの接続感が強く、地形の変化を感じ取りやすいため、反応性が向上する。アウトソールのグリップはドライな岩場やトレイルで自信を与え、ラグの広さが耐久性を高めている。ミドルディスタンスを主眼に置いているが、経験者であれば50km以上のウルトラディスタンスにも耐えうる。全体のパフォーマンスは、ランナーのモチベーションを高め、速さと楽しさを両立させる点で優れている。このシューズは、トレイルランニングのダイナミズムを体現し、パフォーマンスの限界を押し広げるツールとして位置づけられる。
アウトソールとグリップ
アウトソールはContagripラバーを用い、3.5mmのラグが配置されている。この設計は、ドライなトレイルや岩場で優れたグリップを発揮し、ランナーの自信を支える。ラグの形状が広めであるため、耐久性が高く、長期間の使用に耐える。トレイルの多様な地形に対応し、安定したトラクションを提供する。
ただし、極端にルーズな土壌や泥状のコンディションでは最適とは言えない。全体として、アウトソールはシューズのパフォーマンスを下支えする重要な要素であり、トレイルランニングの信頼性を高めている。このグリップ力は、技術的なトレイルでのペース維持に寄与し、ランナーの戦略を広げる。
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特徴:
- 軽量でレスポンシブなミッドソール
- 強靭で通気性の高いMatryxアッパー
- 効果的なQuicklaceシステム
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良い点:- 推進力が高く、速いペースを維持しやすい
- 足の固定が確実で、安定した走行が可能
- トレイルとの接続感が強く、反応性が高い
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悪い点:- スリムフィットのため、幅広足には不向き
- 着用時の難しさがある
- 極端な泥地ではグリップが限定的
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改善点:
- フィットの柔軟性を高めて幅広い足型に対応
- 着脱のしやすさを向上させる構造の検討
比較:ノースフェイス Summit VECTIV Sky 2 との違い
サロモン S/LAB Pulsar 4 を、似たコンセプトのノースフェイス Summit VECTIV Sky 2 と比較すると、両者とも高パフォーマンスのトレイルシューズとして共通点が多い。スタックハイトが近く、ドロップも6mmで一致するが、技術的な違いが走行感に影響を与える。Pulsar 4 はデュアルフォームで快適性を重視し、長距離に向く。一方、Sky 2 はカーボンプレートを搭載し、よりレスポンシブな推進力を提供する。以下に比較表を示す。
| 項目 | S/LAB Pulsar 4 | Summit VECTIV Sky 2 |
|---|---|---|
| 重量 | 252g (27cm, US9) | 235g (27cm, US9) |
| スタックハイト | ヒール35mm、フォアフット29mm | ヒール32mm、フォアフット26mm |
| ドロップ | 6mm | 6mm |
| 主な技術 | Energy Foam+ (PEBA + EVA)、Contagripアウトソール | DREAM nitrogen-TPUミッドソール、VECTIV 3.0 カーボンプレート、SURFACE CTRLアウトソール |
| 特徴 | 軽量で足にフィット、レスポンシブなクッション、長距離快適 | 推進力が高く、テクニカル地形に強い、軽快なレース指向 |
| 弱点 | 幅広足不向き、泥地グリップ限定的 | 長距離での快適性がやや劣る可能性 |
この比較から、Pulsar 4 は快適さと耐久性を、Sky 2 はスピードとレスポンスを重視した選択肢となる。トレイルのスタイルに応じて選ぶのが適切だ。
結論
サロモン S/LAB Pulsar 4 は、トレイルランニングのエッセンスを凝縮したシューズとして、優れたバランスを示している。軽量性とパフォーマンスの融合が、ランナーの可能性を広げ、トレイルでの楽しさを増幅させる。主要な takeaway は、技術的な進化が日常のランを高める点にある。経験豊富なランナーにおすすめで、フィットを確認した上で活用すれば、満足度の高い選択となる。将来的に、トレイルシューズの業界はこうした軽量高機能モデルが増え、アクセシビリティが向上するだろう。この進化は、ランニングの多様性を豊かにし、持続可能なスポーツ文化を育む基盤となる。
参考資料