2025年 Salomon Adv Skin 12 ランニングベストレビュー:アップデートの成功と課題

はじめに

Salomonの人気ランニングベスト、Adv Skin 12が2025年モデルで大幅アップデートされました。このレビューでは、トレイルランニングやウルトラマラソンで長年愛用されてきたこのベストの変更点を詳しく検証します。全体として快適さと機能性は向上していますが、一部の変更が物議を醸しています。実際に複数回のランでテストした結果を基に、良い点と改善点を解説します。


スペックと基本情報

Adv Skin 12は、トレイルランニングの必需品として知られる12L容量のハイドレーションベストです。英国での販売価格は140ポンドで、Salomon公式サイトで入手可能です。カラーは4種類あり、明るいネオフレームや鮮やかなフレイムスカーレット(赤)など、好みに応じて選べます。重量は247gと軽量で、サイズはXSからXLまでの5展開。身長181cm、体重80kgの体型ではMサイズがぴったりフィットします。

購入時のポイントとして、店舗で試着する際はバックコンパートメントに荷物を入れてみてください。空の状態と満載時ではフィット感が大きく変わります。サイズが大きすぎると揺れが発生し、小さすぎると擦れや不快感が生じやすいため、慎重に選びましょう。

構造面では、Sensi Fitテクノロジーを採用。軽量で伸縮性のある通気性生地を使い、安定性を高めています。背面はY字型のデザインで、ストレッチとサポート素材を戦略的に配置し、荷重時の揺れを最小限に抑えます。内側はハニカムメッシュと薄いフォームの2層構造で、体からベストを浮かせることで空気の循環を促進。通気性が向上し、長距離ランでも快適です。特に、フロントの大きなポケット部分にフォームの厚みを増した点は、ソフトフラスクの圧迫感を軽減します。


ストレージの詳細

総容量12Lのストレージは、ランナーのニーズを考慮した設計です。フロント部分を中心にアクセスしやすい配置が特徴で、走行中に止まらずにアイテムを取り出せます。

  • フロント上部ポケット: 肩紐近くに左右1つずつ配置。小さなストレッチポケットで、電解質タブレットや塩タブレットを収納可能。以前のモデルよりデザインが改善され、セキュリティが高まりました。左ポケット内には緊急ホイッスルが付属し、音量が大きくなったため、トラブル時に役立ちます。
  • ソフトフラスクポケット: 500mlのSalomon専用ソフトフラスク2本が付属。各ポケットにバンジーコードとプルタブがあり、飲み進むにつれてフラスクが落ち込むのを防ぎます。このシンプルな仕組みは、過去のベストで問題だった点を解決しています。
  • フロント下部ポケット: 二重構造で、大きなストレッチポケットとその上にジッパー付きのセキュアポケット。手袋、帽子、ヘッドトーチ、携帯電話などをストレッチポケットに、ジェルやバー、軽食をジッパーポケットに収納。どちらも走行中アクセスしやすく、頻繁に使うアイテムに最適です。

背面はメインのジッパーコンパートメントで、3-5Lのドライバッグに必携キットをまとめて収納することをおすすめします。DWR撥水コーティングがありますが、雨天時はドライバッグで保護を。両サイドのバンジーコードで容量を圧縮可能で、少ない荷物時も揺れを防ぎます。下部にはカンガルーポケットが横幅いっぱいにあり、防水ジャケットやパンツを素早く取り出せます。

また、旧式のハイドレーションブラダー派のため、専用コンパートメントとクリップループを搭載。ただし、フロントフラスクシステムの方が水分管理しやすく、ベストのバランスが良いと個人的に感じます。ランニングポールの携行オプションも豊富で、背面やフロントにバンジーコードで固定、または別売りのクイバーで肩に装着可能です。


調整システムと快適性

調整はSalomonのQuick Linkシステムで簡単。フロントの伸縮コードをクリップで固定し、引き締めてトグルでロック。コード末端にクリップを追加したことで、走行中の揺れを防ぎます。さらに、クリップ位置を9箇所から選べるため、体型に合わせてカスタマイズ可能です。

テストでは、数週間にわたり長距離ラン(満載時)と短距離速めラン(最小荷物時)で使用。フィット感が良く、揺れが少なく、擦れも発生しませんでした。フロントの大きなポケットにジェル、グローブ、電話などを詰めてもストレスフリー。全体として、装着したら気にせず走れるベストです。

生地や縫製の仕上げが向上し、ジッパーも耐久性が高くなりました。タグのQRコードをスキャンすると、使用動画や情報にアクセス可能で、初心者にも親切です。


アップデートの改善点と欠点

2025年モデルは、過去10年間のAdv Skin 12をすべて使用した経験から、全体的に進化を感じます。特に印象的な改善点は以下の通りです。

  • ソフトフラスクの再設計: 上部をフラットにし、ノズルを体から離す角度に。胸にフィットしつつ、飲みやすさが向上。シンプルですが、機能性を高めるイノベーションです。
  • 全体のクオリティ向上: 生地の高級感、縫製の精度、ジッパーの耐久性が増し、140ポンドの価値を感じます。ホイッスルの音量アップやコードクリップ追加も、地味ながら実用的。
  • 通気性と安定性: フォームの厚み増で長距離の快適さが向上。Y字バックデザインで荷重分散が優秀です。

一方で、疑問符がつく変更点もあります。

  • ゴミポケットの削除: フロントストレッチポケット内の小さなゴミ入れがなくなりました。ジェル包装の粘着を防ぐ便利な機能だったのに、残念です。一部ユーザーには邪魔だったようですが、個人的には必須でした。
  • 上部ストレッチポケットの削除: ベスト上部にあったポケットが消滅。防水ジャケットの収納に便利でしたが、カンガルーポケットで代用可能とはいえ、ストレージ減少はマイナスです。

これらの削除は、ストレージの簡素化を狙ったのかもしれませんが、機能性を損なう可能性があります。以前のモデルと比較すると、利便性が一部後退した印象です。

項目 2025年モデル 以前のモデル
ソフトフラスクデザイン フラット上部・角度付きノズル(飲みやすい) 標準デザイン(フィット感は良いがアクセスしにくい)
ホイッスル 音量アップ 弱めで実用性低
ゴミポケット 削除 あり(ジェル包装収納に便利)
上部ポケット 削除 あり(ジャケット収納に最適)
仕上げクオリティ 高級感向上 標準
調整オプション 9箇所クリップ位置 少ない位置オプション

この表から、基本機能は強化されたものの、ストレージ面でトレードオフが見られます。


結論

Salomon Adv Skin 12(2025年)は、依然として優秀なランニングベストです。快適なフィット、アクセスしやすいストレージ、軽量設計が魅力で、初めてのベストやアップグレードに適しています。改善点が多い一方、ストレージ削除は惜しいですが、全体のバランスは良好。トレイルランナーやウルトラ愛好家におすすめです。実際に使ってみて、あなたのランスタイルに合うか確かめてください。