はじめに
ナイキの初のカーボンプレート搭載トレイルランニングシューズ、ウルトラフライを実際にトレイルでテストしました。このレビューでは、シューズの構造、フィット感、トレイルでのパフォーマンスを中心に、初走行の印象を詳しくお伝えします。他の人気モデルとの比較も加え、トレイルランナーにとっての価値を探ります。
シューズの概要
ナイキ ウルトラフライは、トレイルランニング向けに開発された高性能シューズです。カーボンプレートを搭載した初のモデルで、長期間の開発を経て登場しました。主な特徴は、Zoom XフォームのミッドソールとVibram MegaGrip Litebaseのアウトソールです。重量は27cm(US9)サイズで約287gと、予想よりやや重めですが、トレイルでの安定性を重視した設計です。ヒールドロップは8.5mmで、幅広いランナーに対応します。
フィットとサイズ
サイズ感は真っ当で、UK9.5(約28cm)がぴったりフィットしました。トゥボックスは幅が広く、足指に十分なスペースがありますが、深さが浅めなので、足のボリュームが多い方は注意が必要です。初走行では中足部とヒールのロックダウンが良好で、安定したホールドを感じました。最初の数kmで前足部に軽いしびれが生じましたが、シューズが馴染むにつれて解消。全体的に快適なフィットで、ナイキの他のモデルより幅広設計です。
素材と構造
アッパーはVaporweave素材を使用し、ロードシューズに似ていますが、耐久性を高めたバリエーションです。踵周りとガセットタンにパッドを追加し、トレイルの厳しい環境に対応。アイレット周りの補強とオーバーレイ(ナイキスウッシュとトレイルロゴ)が耐久性を向上させます。ただし、トゥバンパーがないため、つま先の保護は柔らかい素材頼みです。
ミッドソールはフルZoom Xフォームをファブリックでラップし、耐久性と安定性を強化。カーボンプレートが組み込まれ、トレイルの凹凸地でサポートします。アウトソールはVibram MegaGrip Litebaseで、岩場や湿った岩でのグリップが優秀ですが、ラグ深さが3mmと浅いため、泥地では限界があります。
パフォーマンス評価
初走行は約11kmの予定が13kmに延び、続いて19kmのロングランを実施。トレイルはターマック、グラベル、岩場、ルーズサンド、草地と多岐にわたり、徹底テストしました。
- アッパー: プラッシュで快適。幅広トゥボックスが足指の広がりを許容し、浅い深さも柔らかい素材で問題なし。
- ミッドソール: Zoom Xは通常のロードモデルより硬めで、エネルギーリターンは控えめ。ファブリックラップが安定性を高めますが、地面の感触は薄れます。ロード区間では快適で推進力を感じましたが、トレイルでは標準的なシューズ並み。
- アウトソール: Vibramの粘着性が高く、岩場で自信を持てます。ただし、ラグが浅いため泥地は苦手。ノイズが大きく、ロードで目立つ点も。
- 全体印象: 初めは硬さを感じましたが、馴染むと柔軟性が増し、しびれもなくなりました。トレイルでの安定性は良好ですが、活発さやレスポンシブさは期待以下でした。
他モデルとの比較
ウルトラフライを、Saucony Endorphin Edge、Merrell Agility Peak 5、Norda 001/002と比較します。これらはカーボンプレートやVibramアウトソールを共有し、トレイル性能が高いモデルです。重量はすべて27cm(US9)基準です。
| モデル | クッション性 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| Nike Ultrafly (287g) | Zoom Xフォーム(硬め、安定重視) | 幅広トゥボックス、岩場グリップ優秀、ロード対応良好 | ラグ浅く泥地弱い、初め硬く馴染み必要、地面感薄い |
| Saucony Endorphin Edge (255g) | PWRRUN PB(レスポンシブ、高エネルギーリターン) | 軽量でポップ感強く、興奮する走り味 | トレイル特化でロード弱め、耐久性平均 |
| Merrell Agility Peak 5 (289g) | EVAフォーム(バランス型) | 5mmラグで泥地対応、快適なヒールカップ | 重量やや重め、クッション控えめ |
| Norda 001/002 (268g/249g) | 独自ミッドソール(柔軟) | 5mmラグで泥・岩対応、軽量で耐久性高 | 上級者向け、幅狭めフィット |
ウルトラフライは安定性が高い一方、Endorphin Edgeのレスポンシブさが優位。NordaやMerrellはラグ深さで泥地に強いです。用途に応じて選びましょう。
結論
ナイキ ウルトラフライは、トレイルでの安定性とVibramグリップが魅力ですが、カーボンプレートのポテンシャルがまだ十分発揮されていない印象です。馴染むにつれ性能向上する可能性があり、ロード混じりのトレイルに適します。Saucony Endorphin Edgeのような興奮を求めるなら代替を検討を。一方、幅広フィットと耐久性を重視するランナーにおすすめです。あなたのトレイルスタイルに合うか、ぜひ試着を!