はじめに
このレビューでは、Nike Vaporfly 4のラボテスト結果を基に、その特徴やパフォーマンスを詳しく解説します。前作Vaporfly 3からのアップデートを中心に、軽量化とフィットの改善が目立ち、5kmから21kmのレースに最適なシューズとして進化しました。他のスーパーシューズとの比較も交え、ランナーの皆さんが選ぶ際の参考にしてください。
モデル概要
Nike Vaporfly 4は、ロードレース向けのスーパーシューズです。フルZoomXミッドソールを採用し、カーボンファイバー製のFlyplateを挟み込んだ構造が特徴です。このプレートはヒールからトゥまで続き、ミッドフットとフォアフットでより曲がりやすい形状に進化しました。
アッパーは通気性と耐久性を兼ね備えたメッシュ素材で、厚い糸と薄い素材を組み合わせています。アウトソールは前足部に連続したラバー配置を復活させ、ヒール部はAlphafly 3を参考にしたデザインです。全体の重量は166g(27cm、US9)と軽量で、Vaporfly 3より13%軽くなりました。これにより、敏捷性が高まり、自然な走り心地を実現しています。
スタックハイトはヒール34.1mm、フォアフット25.5mmで、ドロップは8.6mm(ブランド公称6mm)。ロッカーは控えめで、過度なアシストを避けた設計です。World Athleticsの規制に準拠しつつ、軽快な乗り味を重視しています。
クッションとエネルギー返還
クッション性能はヒールで137SA(ショックアブソープション)と優れており、長距離の着地を柔らかく受け止めます。一方、フォアフットは94SAと硬めで、速いレースでの地面感覚を保ちます。エネルギー返還率は78.1%と高く、推進力を効率的に生み出します。
ミッドソールの柔らかさは19.9HA(デュロメーター値、低いほど柔らかい)とバランスが良く、二次フォームも20.0HAで一貫した感触です。寒冷時でも柔らかさの変化はわずか1%と安定しています。これにより、軽量ランナー(男性65kg未満、女性55kg未満)に向き、マラソンでも使用可能ですが、短距離レースで特に輝きます。
プレートの配置が改善され、トゥオフ時のスナップ感が増しました。全体として、自然でスムーズなトランジションを提供します。
フィットとサイズ
フィットはtrue to sizeで、トゥボックスの幅は最広部91.7mm、大つま先部73.2mm、高さ27.3mmとゆとりがあります。前作V3の舌の不満を解消し、薄い舌(パッド2.5mm)とプレミアムレースでロックダウンが向上しました。
ミッドソールの幅はフォアフット110.6mm、ヒール77.0mmと狭めで、安定性は中程度。トーショナルリジッドは4/5、ヒールカウンターは2/5と柔軟です。狭いミッドフットとヒールが安定を制限する一方、敏捷性を高めています。幅広の足には注意が必要ですが、一般的なランナーには快適です。
インソールは2.9mm厚で取り外し可能、穴あき設計で通気性を向上させています。通気性は4/5と良好で、アーチ周りも均等に空気が流れます。
耐久性とグリップ
アウトソールの耐久性は前足部で良好ですが、ヒールは柔らかい素材のため弱め(Dremelテストで8.6mm摩耗)。厚さは2.3mmと薄く、高性能志向です。グリップは0.45と平均的で、濡れた路面でも安定します。
トゥボックスの耐久性は4/5、ヒールパッドは3/5とスーパーシューズとしては優秀。全体の剛性は18.0Nと柔軟で、様々なペースに対応します。反射材はなく、レースデイ向けです。
比較テーブル
ここでは、Nike Vaporfly 4と類似のスーパーシューズを比較します。クッションはミッドソールの柔らかさ(Soft:柔らかい、Firm:硬いなど)を基準にまとめました。
| モデル | クッション | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| Nike Vaporfly 4 | Soft | 軽量(166g)、優れたエネルギー返還、改善されたフィット | マラソン向きでない、安定性不足 |
| New Balance FuelCell SuperComp Pacer v2 | Soft | 軽量、柔軟な乗り味 | 耐久性普通、狭いフィット |
| Altra Vanish Carbon 2 | Balanced | ゼロドロップ、自然な走り | クッション薄め、幅広 |
| ASICS Metaspeed Edge+ | Firm | 高い安定性、速いトゥオフ | 重め、硬い感触 |
これらのモデルはすべてカーボンプレート搭載で、競技向き。Vaporfly 4は軽さと自然なロッカーで短距離に強いです。
メリットとデメリット
メリット:
- Vaporfly 3より13%軽量で、敏捷性向上。
- 5km、10km、21kmレースに最適。
- フルZoomXミッドソールとスプリングのようなFlyplate。
- 優れたロックダウンとプレミアムレース。
- 控えめロッカーで自然な乗り味。
- 取り外し可能な穴あきインソール。
- 前足部のラバー強化。
- Alphafly 3の改良点を取り入れ。
- 通気性と耐久性の良いアッパー。
デメリット:
- マラソンではクッション不足の可能性。
- Vaporfly 1&2のようなスナップ感が少ない。
- 狭いミッドフットとヒールで安定限界。
結論
Nike Vaporfly 4は、前作の弱点を改善したスマートなアップデートです。軽量化とフィットの向上により、短距離レースで特に活躍します。軽量ランナーや自然な乗り味を求める方にオススメ。一方、重いランナーにはAlphafly 3やASICS Metaspeed Sky Parisが適するかも。あなたはどの距離でこのシューズを試しますか? ランニングの参考になれば幸いです。