Saucony Endorphin Elite 2 徹底レビュー:超ソフトフォームのマラソンシューズ比較

はじめに

このレビューでは、Saucony Endorphin Elite 2の革新的な超ソフトフォームを中心に、マラソン向けスーパーシューズとしての性能を徹底検証します。他のトップモデルとの比較も交え、特徴や適したランナーを解説します。

:person_running: シューズ概要

Saucony Endorphin Elite 2は、マラソン競技向けに設計されたスーパーシューズです。主な特徴は、TPEEベースのIncrediRUNフォームで、超ソフトなクッション性を備えています。このフォームは、従来のEndorphin Eliteから大幅に進化し、エネルギーリターンと衝撃吸収を最大限に高めています。

  • ミッドソール: 二重密度構造で、下層が4.0 HAの極めて柔らかいIncrediRUNフォーム、上層が6.5 HAのフォーム。カーボンプレートを挟み込み、爆発的な推進力を生み出します。
  • スタックハイト: ヒール39.9 mm、フォアフット32.4 mmで、世界陸連の制限を最大限活用。ドロップは7.5 mmで、ミッドフットやフォアフットストライカーに適したロッカー形状です。
  • アウトソール: ラバー配置を最小限にし、柔軟性を高めたデザイン。重量は197g(27cm / US9サイズ)。
  • アッパー: 通気性の高いメッシュとニットタンで、耐久性とフィットを向上。リフレクティブ要素はなく、レース向きのミニマム設計です。

これにより、楽しく弾むような走行感を実現。一方で、極端な柔らかさが安定性を犠牲にしています。


:microscope: クッション性とパフォーマンス

Endorphin Elite 2の最大の魅力は、記録的なエネルギーリターンと衝撃吸収です。ラボテストでは、ヒール80.6%、フォアフット82.1%のエネルギーリターンを記録。これはテストした200以上のシューズで最高値です。一方で、ミッドソールの柔らかさ(6.5 HA)はトップ1%のソフトさで、雲のような感触を提供します。

  • 衝撃吸収: ヒール157 SA、フォアフット123 SAで、マラソン距離を快適にカバー。極厚フォームが底付きを防ぎます。
  • ロッカー&プレート: 遅めのフォアフットロッカーとスプーン型カーボンプレートで、前方推進を促進。柔軟性は17.5Nで、他のスーパーシューズ並み。
  • 低温耐性: 冷凍後27%硬化しますが、元々の柔らかさから大きな変化を感じにくいです。
  • トラクション: ドライ/ウェット路面で信頼性が高く、0.48のスコアを獲得。

この性能は、マラソンで爆発的な推進力を求めるランナーに最適。走るのが楽しくなるシューズです。


:running_shoe: フィットと快適性

フィットはレース向きのタイト設計で、27cm(US9サイズ)でハーフサイズ小さめに感じる場合があります。幅はミッドフット95.6 mm、トゥボックス71.0 mmと中程度ですが、トゥボックス高さ29.5 mmで縦方向にゆとりあり。ワイドフットランナーは長距離で圧迫感が出る可能性があります。

  • アッパー通気性: 5/5の最高評価。メッシュの微細構造で空気が通りやすく、夏のレースに適します。
  • タン&ヒール: ソックライクなニットタン(パディング1.5 mm)でずれにくく、拡張ヒールカラーが足入れを容易に。インソールはPWRRUN+フォームの4.8 mmで取り外し可能。
  • 全体の感触: ミニマムパディングながら、耐久性が高く(トゥボックス5/5、ヒール4/5)。通気性とロックダウンが向上した点が魅力です。

快適性を重視しつつ、軽量性を優先したフィットで、長時間のマラソンに耐えうる設計です。


:balance_scale: 安定性と耐久性

安定性はEndorphin Elite 2の弱点で、超ソフトフォームのため横方向の安定性が低いです。ねじり剛性4/5、ヒールカウンター1/5と柔軟ですが、完璧なフォームを要求します。ヒールストライカーには不向きで、ミッドフットストライカーに推奨。

  • ミッドソール幅: フォアフット116.2 mm、ヒール90.6 mmで平均的。安定性を求めるなら他のモデルを検討。
  • 耐久性: アッパー全体が高耐久(アウトソール損耗0.5 mm、厚さ1.2 mm)。レースシューズながら長持ちします。
  • その他: 冷凍テストで27%硬化ですが、実用上問題なし。全体として、パフォーマンス優先の耐久バランスです。

ヒールストライカーや安定性を求めるランナーは、Adidas Adizero Adios Pro 4やSaucony Endorphin Pro 4を検討してください。


:bar_chart: 比較テーブル

モデル クッション性 メリット デメリット
Saucony Endorphin Elite 2 超ソフト(6.5 HA) 記録的なエネルギーリターン、爆発的なバウンス、優れた衝撃吸収、マラソン向きの耐久性、通気性の高いアッパー 横方向の安定性不足、ヒールストライカー不向き、やや重め(197g、27cm / US9サイズ)
Nike Alphafly 3 ソフト(デュアル密度) 優れたエネルギーリターン、滑らかなトランジション、優れた衝撃保護、革新的な安定性 エネルギーリターンが一部の新素材に劣る可能性、重め(201g、27cm / US9サイズ)
ASICS Metaspeed Sky Tokyo プラッシュ 超軽量構造、優れた通気性、マラソン向けクッション、素晴らしいエネルギーリターン 狭いトゥボックス、ヒールの安定性不足、軽め(163g、27cm / US9サイズ)
ASICS Metaspeed Edge Tokyo 快適で一貫性あり スピードと軽量性、新FF Leapフォーム、滑らかなトランジション、グリップの良いアウトソール 狭いヒール、低耐久アッパー、超軽量(159g、27cm / US9サイズ)

このテーブルは、主なスペックに基づく比較です。重量はすべて27cm(US9サイズ)のラボデータを使用。


:memo: 結論

Saucony Endorphin Elite 2は、超ソフトフォームによる独自の走行感が魅力の革新的シューズです。エネルギーリターンと衝撃吸収が最高レベルで、マラソンで楽しく速く走りたいランナーに最適。一方、安定性の低さから、完璧なフォームを持つ中上級者向けです。Sauconyファンやソフトフォーム愛好家におすすめですが、ワイドフットやヒールストライカーはNike Alphafly 3やNew Balance FuelCell SuperComp Elite v4を検討を。あなたに合ったシューズで、次のレースを楽しみましょう!


参考資料