はじめに
このレビューでは、サロモン S/Lab Ultra をトレイルランニングシューズとしてラボテストと実際のランで検証します。主にウルトラディスタンス向けに設計されたこのモデルは、セキュアなフィットと多用途性を備えていますが、エネルギー返還の低さと重量感が課題です。類似モデルとの比較を通じて、あなたの選択をサポートします。
モデル概要 
サロモン S/Lab Ultra は、トレイルランニングの競技用シューズとして開発されたモデルです。フランスのChamatex Groupが製造するプレミアムMATRYXアッパーを採用し、Kevlar糸を織り交ぜた耐久性と通気性を兼ね備えています。ミッドソールにはEVAとOlefinのブレンドフォームを使用し、ガラス繊維製のProfeelプレートを内蔵して岩場保護と安定性を強化しています。
アウトソールはContagripラバーを用い、3.5mmのラグ深さで混合地形に対応。重量は290g（27cm / US9）と、競技モデルとしてはやや重めですが、さまざまな距離のトレイルに適しています。ヒールスタックは36.3mm、フォアフットスタックは26.1mm、ドロップは10.2mmで、ヒールストライカー向けの設計です。ロッカー形状がスムーズな前進を促します。
- 主な特徴:
- MATRYXアッパー: 通気性が高く、軽量で精密なフィット。
- Quicklaceシステム: 素早い調整が可能で、舌部分に収納ポケット付き。
- 多用途ラグデザイン: 乾いた地形や安定した表面で優れたグリップを発揮。
このシューズは、サロモンのファンや狭い足型のランナーに特に向いています。
クッション性とパフォーマンス 
クッション性では、ヒール部分の衝撃吸収が130 SAと優れており、フォアフットは95 SAと自然な感触を保っています。これにより、ヒールストライカーや長距離ランナーに適したバランスを実現。一方で、エネルギー返還はヒール55.4%、フォアフット59.8%と平均レベルで、競技用としては物足りない印象です。
ミッドソールの柔らかさは17.5 HAとトレイルシューズの中では柔らかめですが、ラグの影響で実際の乗り心地はしっかりしています。低温時でも29%の変化率で安定性を維持。ガラス繊維プレートがX字型に配置され、岩場保護と安定性を高めています。剛性は16.1Nと柔軟性を保ちつつ、炭素プレートモデルよりしなやかです。
ランでの感触はセキュアですが、活発さは欠けます。ウルトラディスタンス（例: 50km以上）でフォームが崩れやすいランナーにおすすめです。一方で、エネルギー重視なら他のモデルを検討しましょう。
- パフォーマンスのポイント:
- ヒール重視のクッション: 長時間の着地をサポート。
- ロッカー形状: 前方への推進をスムーズに。
- 柔軟性: トレイルの変化に対応しやすい。
フィットと快適性 
フィットは非常にタイトで、幅91.3mm、トゥボックス幅67.1mm、高さ24.4mmと狭めです。狭い足型のランナーにはグローブのようなセキュア感を提供しますが、広い足には制限を感じるかも。ヒールロックダウンは快適で、精密なフィットが特徴です。
通気性は4/5と良好で、トゥボックス部分が薄く設計され、夏場でも涼しく保ちます。舌の厚さは5.5mmで、フルガセットタイプがデブリの侵入を防ぎます。Quicklaceで迅速に調整可能で、ヒールタブなしのミニマリストデザインです。インソールは3.8mmの薄型で取り外し可能、通気孔付きです。
全体として、快適性を重視したパッドが豊富ですが、トゥスプレイを求めるランナーには不向きです。あなたは狭いフィットがお好みですか？
- 快適性のポイント:
- ヒールカウンターの柔らかさ: 2/5で足に優しくフィット。
- 通気ゾーン: トゥボックスで最大の空気流。
- 調整のしやすさ: Quicklaceで素早いオンオフ。
耐久性と安定性 
耐久性では、トゥボックスが2/5と薄めですが、TPUオーバーレイで保護。ヒールパッドは4/5、アウトソールは0.8mmの摩耗で優れた耐久性を示します。アウトソール厚さは1.3mmと薄型ですが、Contagripラバーが長持ちします。
安定性は、スナッグフィットと捻じれ剛性5/5で強化。ミッドソール幅はフォアフット115.1mm、ヒール91.8mmと平均以上で、アジリティを保ちます。ヒールカウンターは柔らかく快適ですが、サポートは控えめ。急カーブやテクニカル地形でセキュア感を発揮します。
反射材なしなので、夜間ラン時は注意。全体として、混合トレイルで信頼できる耐久性です。
- 耐久性のポイント:
- アウトソール: フルカバーで重量を抑えつつ耐久。
- 捻じれ剛性: 5/5で安定した走行。
- 低温耐性: 平均的な変化で冬場も使用可能。
類似シューズ比較 
サロモン S/Lab Ultra を類似モデルと比較します。クッション性はミッドソール柔らかさに基づき、メリット・デメリットをまとめました。重量はすべて27cm (US9) 基準です。
| モデル | クッション性 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| サロモン S/Lab Ultra | ソフト | プレミアムMATRYXアッパー、耐久Contagrip、セキュアヒールロック、汎用ラグ、スムーズロッカー、良好通気、多距離対応、Quicklace | エネルギー返還低め、競技用としては重い、極めてタイトフィット |
| サロモン S/Lab Ultra Glide | バランス | 優れた安定性、耐久性高め、速いトランジション | 重め、暖かめ通気 |
| The North Face Vectiv Enduris 3 | バランス | 軽量、優れたエネルギー返還、良好耐久 | 狭めトゥボックス |
| Hoka Mafate Speed 4 | ソフト | マキシマムクッション、柔軟性高め、良好耐久 | 重め、暖かめ通気 |
このテーブルから、S/Lab Ultra は狭いフィットと汎用性を重視するランナー向けです。他モデルはエネルギーや軽量さを求める場合に代替となります。
結論 
サロモン S/Lab Ultra は、サロモンファンや狭い足型のトレイルランナーにとって信頼できる選択肢です。セキュアなフィット、耐久性、多用途性が強みですが、エネルギー返還の低さと重量が課題。ウルトラディスタンスでヒールストライカーに適しています。一方で、活発な走りを求めるならHoka Tecton X 3 や Adidas Terrex Agravic Speed Ultra をおすすめします。あなたのトレイルスタイルに合ったシューズを選んで、快適なランを楽しんでください！