サロモン S/Lab Ultra Glide 徹底レビュー:ウルトラトレイル向け高安定シューズ比較

はじめに

このレビューでは、サロモン S/Lab Ultra Glide を中心に、ウルトラディスタンス向けのマキシマムクッショントレイルシューズを比較します。このシューズは、優れた安定性と耐久性を備え、長い距離を走るランナーに適したデザインが特徴です。ミッドフットやフォアフットストライカーにとって特に快適で、他の人気モデルとの違いを詳しく検証します。

:national_park: モデル概要

サロモン S/Lab Ultra Glide は、サロモンのS/Labシリーズで最もクッション性の高いシューズです。最大スタックハイトのプラットフォームを採用し、安定性を重視した設計が魅力です。ミッドソールはデュアルフォーム構造で、下層に安定性を提供するEVAベースのEnergy Foam、上層に柔軟性を加えるPEBAベースのEnergy Foam+を組み合わせています。これにより、ウルトラレースのような長距離で疲労を軽減します。

重量(27cm/US9):305g
ヒールスタック:41.0mm
フォアフットスタック:33.8mm
ドロップ:7.2mm(ブランド値6.0mm)
アウトソールはContagripラバーで、relieveSPHERE技術を搭載。凹状のデザインが足底の圧力を分散し、ホットスポットを防ぎます。ただし、このデザインにより一部のトラクションが犠牲になる場合があります。

アッパーはエンジニアードメッシュで、耐久性を優先。通気性は平均以下ですが、冬のランニングに適しています。Quicklaceシステムで素早い調整が可能で、フルガセットタンによりデブリの侵入を防ぎます。

  • プロス:優れたクッション性、安定性、耐久性、Quicklaceの利便性、滑らかなフォアフットロッカー
  • コンス:エネルギー返還が平均的、重量が重め、トゥボックスが狭い

このシューズは、Ultrag Glide 2の所有者がS/Lab仕様を求める場合や、クールなコンディションでの長距離ランナーに最適です。一方で、高いエネルギー返還を求めるレース志向のランナーには不向きです。


:shield: クッション性とパフォーマンス

S/Lab Ultra Glide のクッション性は、ヒールとフォアフットでほぼ同等のショック吸収を提供します。ラボテストでは、ヒール128 SA、フォアフット127 SAと、平均を上回る値を示しました。これにより、ミッドフットやフォアフットストライカーが長距離で快適に走れます。ヒールストライカーも標準的な保護を得られます。

エネルギー返還はヒール54.5%、フォアフット59.8%と平均的。プレミアムフォームを全面的に使用していないため、爆発的なライドは期待できませんが、耐久性と安定性を優先した設計です。ミッドソールの柔らかさは主層22.0 HA、二次層12.5 HAで、バランスの取れたフィーリングです。

低温時(フリーザーテスト後)の柔らかさ変化は16%と小さく、PEBA層のおかげで寒い環境でもパフォーマンスを維持します。ロッカー形状はフォアフットとヒールで強調され、厚いスタックハイトでもスムーズなトランジションを実現します。

剛性は18.5Nと平均以上で、フルラバーアウトソールとマックススタックが寄与。トーショナルリジッドは4/5、ヒールカウンターは3/5と、安定性を高めています。サイドウォールが大きく、弱い足首のランナーをサポートします。

一方で、重量が重く感じるため、軽快さを求める場合は他のモデルを検討してください。これにより、ウルトラディスタンスでの安定した走りを支えます。


:footprints: フィットとサイズ

S/Lab Ultra Glide のフィットは、伝統的なS/Labのタイトさを継承しています。幅は92.6mm(平均以下)、トゥボックス幅72.4mm、高さ21.5mmと狭め。スリムな足に適し、セキュアなロックダウンを提供しますが、広い足や高さが必要なランナーには圧迫感があるかもしれません。

ミッドソール幅はフォアフット114.9mm、ヒール92.6mmと、最大スタックながらコンパクトに保たれています。これにより、ボリューム感なくアジリティを維持。インソールは5.1mm厚で取り外し可能、カスタムオーソティックス対応です。

タンパディングは4.4mmと薄めですが、ウルトラ向けの競技シューズとして適切。フルガセットタンでソックライクなフィットを実現し、Quicklaceで調整が簡単です。ヒールタブはなしですが、全体のビルドクオリティは優秀です。

サイズは真実サイズですが、トゥボックスの制限を考慮して試着をおすすめします。安定性を重視したサイドウォールが、横方向の動きをコントロールします。


:glowing_star: トラクションと耐久性

アウトソールのラグ深さは3.2mmで、非テクニカルなドライトレイル向け。矢印状のラグがグリップを提供し、ウルトラレースの多くで十分です。relieveSPHEREシステムが圧力を分散しますが、ラグの一部を除去するため、トラクションが若干低下する可能性があります。

耐久性は優れており、トゥボックス4/5、ヒールパディング4/5、アウトソール摩耗0.4mm(平均0.9mm)と優秀。アウトソール厚さ1.5mmで、スタックハイトが保護を補完します。メッシュは耐摩耗性が高く、MATRYXより耐久優先の選択です。

反射要素はなしですが、全シーズン対応。通気性は2/5と暖かめで、冬向き。全体として、長距離での信頼性が高いシューズです。


:bar_chart: 比較テーブル

以下は、S/Lab Ultra Glide と類似のマキシマムクッションシューズの比較表です。主な特徴をまとめました。

モデル クッション性 メリット デメリット
サロモン S/Lab Ultra Glide バランス型(ミッドソール柔らかさ22.0 HA) 優れた安定性、耐久性、コンパクトなデザイン エネルギー返還平均、重め(305g)
アシックス Trabuco Max 4 ソフト型(ミッドソール柔らかさ20.1 HA) 広いフォアフット、安定性が高い 重め(312g)、低温時変化大
ホカ Mafate Speed 4 ソフト型 軽量(293g)、優れたトラクション トゥボックス狭め、デブリ侵入しやすい
ホカ Stinson 7 ソフト型 高いクッション、安定したH-Frame 重め(342g)、テクニカルトレイル不向き

これらのモデルはすべてニュートラルアーチサポートで、ウルトラ向け。S/Lab Ultra Glide は安定性で優位ですが、重量を考慮してください。


:end_arrow: 結論

サロモン S/Lab Ultra Glide は、ウルトラディスタンスで安定性と耐久性を求めるランナーにぴったりです。最大クッションながらアジリティを保ち、ミッドフットストライカーに特におすすめ。ただし、エネルギー返還が控えめなので、レースで爆発力を求めるならホカ Tecton X 3 やニケ Zegama 2 を検討しましょう。比較モデルの中では、ASICS Trabuco Max 4 がコストパフォーマンス良く似た安定性を提供します。あなたはどのシューズで次のトレイルに挑みますか?


参考資料