Brooks Glycerin Max 2は、前作の高いスタックハイトとクッション性を継承しつつ、ミッドソールの形状を新しく彫刻的にデザインし、上部構造を調整してフィット感を向上させたデイリートレーナーだ。このシューズは、窒素を注入したDNA TUNEDフォームをミッドソールに採用し、ヒール部に大きなセルを配置して柔らかい着地を実現し、前足部に小さなセルを置いてトゥオフ時のレスポンシブネスを高めている。新たなミッドソールの彫刻デザインは、縦のラインを側面に施すことでスムーズなトランジションを促進する。また、上部は厚みのあるプラッシュ素材を使用し、ヒールカラーやタンを大きくパッド入りとして長距離での快適性を強調している。テストでは約32kmを走行し、主にスローな回復ペースを中心に一部アップテンポを加え、ロードを中心に軽いオフロードも含めた。結果として、前作に比べてフィットがタイトになり、重量が増加したことで重さを感じやすくなったが、クッション性は堅めになり、沈み込みが少なく即応性のあるライドを提供する。ロッカー形状が強く、トランジションをスムーズに導くものの、バウンシーさは控えめで、Mega BlastやNova Blastのような活発なエネルギーリターンは期待できない。全体として、簡単な日々のランニングに適したシューズであり、安定性と保護性が高い点が魅力だ。このレビューでは、こうした変更点がどのように走行体験に影響を与えるかを詳しく探る。
概要
Brooks Glycerin Max 2は、最大級のクッションを求めるランナー向けに設計されたシューズで、前作のコンセプトを基盤に細かな改良を加えている。スタックハイトはヒール45mm、前足部39mmで6mmのドロップを維持し、重量は27cm (US9) で約320gとなっている。この重量は前作より増加しており、見た目のボリューム感を反映したものだ。ミッドソールは窒素注入のDNA TUNEDフォームを継続使用し、ヒール部の大きなセルが衝撃吸収を担い、前足部の小さなセルが推進力を助ける。新しい彫刻的な形状は、側面の縦ラインによりトランジションの滑らかさを向上させる狙いがある。上部構造は新しいラストを採用し、ミッドフット部を snug にし、前足部にスペースを確保してGlycerinシリーズのフィットに近づけている。これにより、全体的な快適性が向上し、長時間のランニングで疲労を軽減する。アウトソールは厚いラバーを広範囲に配置し、耐久性を高めている。こうしたスペックは、日常のイージーランや回復走に最適で、高いスタックながら安定した走行感を提供する。
ミッドソールの構造と走行感
ミッドソールの核心は、DNA TUNEDフォームの継続採用にある。このフォームは窒素を注入して調製され、ヒールに大きなセルを配置することで柔らかい着地を実現し、前足部に小さなセルを置くことでレスポンシブなトゥオフを可能にする。新たな彫刻デザインは、側面に縦のラインを刻むことでトランジションをスムーズに導く。テスト走行では、前作に比べてプラットフォームが堅めに感じられ、Brooksの意図する柔らかさの向上とは逆に、よりレジリエントな感触が得られた。沈み込みが少なく、即時的な反発があるため、大きなクッションシューズにありがちな労力を要するスクイッシュ感を避けられる。ロッカー形状は顕著で、トゥ部が急激に上向きに湾曲し、ロールを促進するが、バウンシーなエネルギーリターンは控えめだ。疲労した脚でテストした際、クッションが素早く回復するため、沈み込むことなく保護を提供した。幅広いプラットフォームは安定性を確保し、高いスタックながらぐらつきが少ない。ウェットコンディションでのグリップも良好で、直線走行を中心に信頼できるパフォーマンスを示した。全体として、このミッドソールは低速のクルージングに適し、活発なスプリングを求めるランナーには物足りないかもしれないが、十分なクッションと安定のバランスが魅力だ。
アッパーとフィット感
アッパーは厚みのある素材を採用し、プラッシュなディテールを多用して快適性を高めている。大きなパッド入りヒールカラーとタン、さらには柔らかい太いレースが、長距離での心地よさを強調する。新たなラストはGlycerinシリーズに近づけ、ミッドフット部を snug にし、前足部にスペースを確保した。これにより、前作のルーミーなフィットからややタイトな感触へ移行し、足の固定感が向上した。テストでは、UK8.5 (US9.5) で真サイズが適切で、トゥボックスは広めに確保され、トゥの上部にスペースがあるため長時間走行に適する。しかし、前作に比べてストレートで狭い形状のため、小指部に意識が向く場合がある。レースアップ部はパッド入りタンが高く配置され、ミッドフットのロックダウンが良好だ。ヒールカラーは豊富なパッドでスリップを防ぎ、全体のフィットは即時快適とはいえないが、馴染むと安定する。こうした変更は、批判のあった前作のフィットを改善する試みだが、一部では前作のルーミーさが好まれる可能性もある。真サイズを推奨し、幅広い足型に対応するが、狭さを感じるランナーは試着を勧める。
アウトソールと耐久性
アウトソールは、主要な衝撃領域に厚いラバーを広範囲に配置し、耐久性を重視した設計だ。ヒール部を含む全体に数mmのラバーが施され、摩耗を防ぐ。テストの32km走行後、ほとんど新品同様の状態を保ち、高マイレージに耐えうる構造を示した。このラバーの配置は、ロード中心の使用で信頼性が高く、軽いオフロードでも対応可能だ。ウェット路面でのグリップは、直線走行で問題なく、コーナリング時の高速テストは行っていないが、安定したトラクションを提供する。全体として、このアウトソールはシューズの重厚なイメージに合致し、長期間の使用を想定したものだ。ミッドソールのフォームと組み合わせることで、保護性が高く、日常のトレーニングで信頼できる耐久性を発揮する。
他のマックススタックシューズとの比較
Brooks Glycerin Max 2は、最大級のクッションを求めるカテゴリで、他ブランドの競合モデルと位置づけられる。新たなデザインは堅めのライドを提供し、安定性を重視するが、汎用性に限りがある。比較すると、New Balance More V6は類似の高いスタックで柔らかいクッションを特徴とし、Glycerin Max 2より軽快な走行感がある。一方、Hoka Bondiは極めて柔らかいフォームで沈み込みが強く、長距離の回復に特化するが、レスポンシブネスが控えめだ。Nike ボメロ Premiumは汎用性が高く、イージーランからアップテンポまで対応し、Glycerin Max 2より軽量でギアチェンジがしやすい。Asics Super Blastはバウンシーなエネルギーリターンが魅力で、Glycerin Max 2の堅めな感触とは対照的に活発な推進力を提供する。これらのモデルは、いずれも高いクッションを基調とするが、Glycerin Max 2は安定と保護を優先し、重量が増加した点が差別化要因だ。以下に主な比較をまとめる。
| メーカー | 主な技術 | 特徴 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| Brooks (Glycerin Max 2) | DNA TUNEDフォーム | 堅めのクッション、安定性が高い | 重量が重く、汎用性低い |
| New Balance (More V6) | Fresh Foam X | 柔らかい沈み込み、快適な長距離 | レスポンシブネス控えめ |
| Hoka (Bondi) | Meta-Rocker | 極めて柔らかい保護、軽いオフロード対応 | 推進力が弱い |
| Nike (ボメロ Premium) | ZoomXフォーム | 汎用性高く、軽量でスピード対応 | 耐久性がやや劣る |
| Asics (Super Blast) | FF Blast Turbo | バウンシーなエネルギー、活発なライド | 安定性が低い |
この表から、Glycerin Max 2は堅実な選択肢だが、用途に応じて他のモデルを検討する価値がある。
利点と潜在的な課題
Glycerin Max 2の主な利点は、豊富なクッションと安定性の組み合わせにある。堅めのミッドソールは沈み込みを抑え、疲労した脚でも素早い回復を提供し、幅広いプラットフォームがぐらつきを防ぐ。プラッシュな上部は長距離の快適性を高め、耐久性の高いアウトソールは高マイレージを支える。一方、課題として重量の増加が挙げられ、前作より重く感じられ、速いペースでの使用を制限する。柔らかさを求めるランナーには、前作のシンクーな感触が欠如し、物足りないかもしれない。また、汎用性が低く、主にイージーデイに特化するため、多様なトレーニングには不向きだ。こうした点は、最大クッションのトレードオフとして理解する必要があるが、安定したクルージングを優先するランナーには適している。
結論
Brooks Glycerin Max 2は、前作のファンに引き続きアピールするシューズで、イージーランや回復走に適したクッションと安定性を提供する。変更点によりライドが堅めになり、スナッピーな感触が増したが、最大の柔らかさを求める人には他の選択肢が優位だ。全体として、48km以上の長距離や160kmウルトラの後半で保護を求める場面で有効だが、重量と価格を考慮した汎用性の低さが課題となる。将来的に、ランニングシューズ業界では最大スタックのトレンドが続き、軽量化とエネルギーリターンの進化が鍵となるだろう。このシューズは、そうした流れの中で堅実な位置を占め、ランナーの多様なニーズに応じる一翼を担う存在だ。
参考資料