ニューバランスの1080シリーズは、プレミアムなクッション性を備えたニュートラルシューズとして、長年ランナーから支持を集めてきた。最新モデルである1080v15は、ミッドソールに全く新しいフォーム素材を採用し、上部構造やアウトソールにも微調整を加えることで、日常のトレーニングシューズとしての快適さとパフォーマンスを向上させている。この記事では、初回のランを通じて感じた印象を中心に、v14モデルとの違いを詳しく探る。全体として、v15はより柔らかく軽量な乗り味を提供する一方で、伝統的なランニング体験を維持しており、日常使いの汎用性が高いシューズとして位置づけられる。
概要
ニューバランス1080v15は、同社のクッションラインアップのフラッグシップモデルとして、日常のトレーニングを支えるシューズだ。最大の特徴は、新開発のInfinionフォームをミッドソール全体に使用した点で、これにより従来のFresh Foam Xからより柔らかく弾力のある感触を実現している。重量の軽減やアウトソールの再設計も加わり、全体的なバランスが向上した。初回のランでは、90分程度のロングランでその性能をテストしたが、軽快さと保護性の両立が印象的だった。v14モデルと比較すると、v15はより柔らかい着地感を提供しつつ、伝統的なドロップ感を強調した乗り味となっている。この変化は、ランナーの好みに応じて評価が分かれる可能性があるが、市場のトレンドであるソフトなクッション性を追求した進化と言える。
このシューズは、最大スタックハイトを維持しつつ、軽量化を図ることで、日常のジョギングからロングランまで幅広い用途に対応する。ミッドソールの新素材は、初期の柔らかさが徐々に安定する特性を持ち、長距離での耐久性を考慮した設計だ。全体として、ニューバランスのクッションシューズの伝統を継承しつつ、新たな素材で差別化を図っている。
- スペック
- 重量: 249g (US men’s 9 / 27cm)
- スタックハイト: ヒール39.5mm、フォアフット33.9mm
- ドロップ: 6mm
- ミッドソール素材: Infinionフォーム
- サポート: ニュートラル
- 用途: 日常トレーニング、ロングラン
デザインの変更点
1080v15のデザインは、v14からいくつかの微妙なアップデートを施されている。まず、ミッドソールがInfinionフォームに置き換わったことで、手触りがより柔らかくスポンジのような感触になった。これは、従来のFresh Foam Xが比較的しっかりとした密度を持っていたのに対し、v15では初期の柔軟性を高めている。アウトソールは中足部でフォームをより露出させる設計に変更され、重量軽減に寄与しているが、フォアフットとヒールには十分なラバー覆盖を確保し、耐久性とグリップを維持している。雨天時のテストでは、グリップが安定していた点が確認できた。
上部構造では、通気性を高めたオープンなメッシュデザインを採用し、表面に微妙な凹凸を加えることでフィット感を向上させた。ヒールカウンターは外部にプラスチックのリッジを配置し、内部サポートを強化している。これらの変更は、全体としてシューズを軽やかに仕上げつつ、安定性を損なわないバランスを取っている。視覚的には、v14の滑らかなシルエットから少し伝統的なフォルムに戻った印象で、ランニング中の自然な動きを促進する設計だ。
- 特徴
- 新しいInfinionフォームによる柔らかいミッドソール
- 通気性の高いコントゥアードアッパー
- 中足部露出を増やしたアウトソールで軽量化
- 外部ヒールカウンターによるサポート強化
ミッドソールの新素材:Infinionフォームの感触
Infinionフォームは、1080v15の最大の革新点であり、従来のFresh Foam XやFuel Cellフォームから完全に独立した新素材だ。手で触れた時点で、v14のフォームよりも柔らかく弾力があることがわかる。初回のランでは、出だしで非常にクッション性が高く、着地時の衝撃吸収が優れていた。しかし、ランが進むにつれてフォームがやや凝縮し、硬さが増す傾向が見られた。これは、保護性と回復力を重視した設計で、超エネルギーリターン型のフォーム(例: NikeのZoomX)とは異なり、日常のペース走に向いている。
この素材の特性は、長距離ランで特に有効だ。約21kmの距離を走った後でも、疲労感が少なく、足への負担を軽減した。v14のFresh Foam Xがより一貫した硬さを保つのに対し、v15のInfinionは初期の柔らかさが魅力だが、時間経過での変化を考慮する必要がある。全体として、この新フォームは市場のソフトクッション志向に合致し、ランナーの回復をサポートする役割を果たすだろう。
-
メリット (
良い点)- 初期の柔らかさとバウンスが快適な着地を提供
- 保護性が高く、長距離での疲労軽減に寄与
- 軽量化により、日常トレーニングの負担を減らす
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デメリット (
悪い点)- ラン中盤以降でフォームが硬くなる可能性
- エネルギーリターンが控えめで、スピード走には向かない
アッパーとアウトソールの更新
アッパーは、フォアフット周りにオープンなデザインを採用し、通気性を向上させた。表面の凹凸はフィット感を高め、硬めの触感があるものの、ラン中は足に馴染んで気にならなかった。舌部と襟周りのパディングは適度で、過度に豪華ではないが、快適なステップインを実現している。ヒールカウンターの強化は、安定したホールドを提供し、中足部のサポートを助ける。
アウトソールは、v14から中足部のラバー覆盖を減らし、フォーム露出を増やした。これにより重量が軽減されたが、フォアフットとヒールのラバーは十分に厚く、耐久性を確保している。雨天路でのグリップテストでは、滑りにくさが確認され、さまざまな路面に対応可能だ。これらの更新は、シューズ全体の軽快さを高めつつ、実用性を維持した点で評価できる。
- 改善点
- 通気性の向上で夏場のランを快適に
- ラバー配置の最適化で耐久性と軽量の両立
- サポート要素の追加で安定性を強化
フィット感の評価
1080v15のフィットは、標準的なランニングシューズサイズで問題ない。US men’s 9.5 (UK 9) を使用したが、トゥボックスに適度なスペースがあり、窮屈さを感じなかった。ヒールと中足部のホールドがしっかりしており、長距離ランでもずれにくい。アッパーの軽量設計は、クッションシューズとしては抑えめのパディングだが、日常使いに適したバランスだ。v14と同様のサイジングで、レーシングシューズのようにハーフサイズアップする必要はない。
このフィットは、幅広い足型に対応し、ステップイン時の快適さが際立つ。硬めの前足部素材はラン中には気にならず、全体として足に溶け込むような感覚を提供する。ニューバランスの伝統的なサイジングを維持しつつ、v15では軽量化がフィット感の軽やかさを強調している。
v14との比較
1080v15とv14の違いを直接比較すると、ミッドソールの素材変更が最も顕著だ。v15のInfinionフォームは初期の柔らかさが魅力だが、v14のFresh Foam Xはより一貫した硬さとロッカー形状を提供する。初回の並行テストでは、v15がヒールで柔らかい着地感を示し、v14がスムーズなトゥオフを実現した。乗り味として、v15は伝統的な6mmドロップを強調し、v14はロッカー効果で滑らかな移行を促す。
重量面では、v15が軽量化され、軽快な走りを可能にする。一方、v14は安定感が強く、長距離での信頼性が高い。全体として、v15はソフト志向のランナーに向き、v14はバランスの取れた汎用性を求める人に適する。
| 項目 | 1080v15 | 1080v14 |
|---|---|---|
| 重量 | 249g (US men’s 9 / 27cm) | 298g (US men’s 9 / 27cm) |
| スタックハイト | ヒール39.5mm、フォアフット33.9mm | ヒール38mm、フォアフット32mm |
| ドロップ | 6mm | 6mm |
| 主な技術 | Infinionフォーム | Fresh Foam X |
| 特徴 | 柔らかい初期クッション、軽量化、伝統的な乗り味 | スムーズなロッカー、安定した硬さ、汎用性 |
| 弱点 | ラン中盤の硬化傾向、エネルギーリターン控えめ | やや重め、ソフトさが少ない |
出典:The Run Testers
ランニングインプレッション
初回の90分ロングランでは、1080v15は軽快さと快適さを発揮した。晴れた午後のフィールドで、心拍数を抑えたペースを維持したが、シューズの存在をあまり意識せずに走れた。Infinionフォームの柔らかさが着地を和らげ、約21kmの距離でも足の疲労が最小限だった。ただし、中盤以降でフォームが硬くなる感覚があり、v14のスムーズなロッカーとは対照的だ。v13の過度な柔らかさを避けつつ、v14の硬さを和らげた中間的な位置づけで、日常のトレーニングに適している。
この印象は、Nikeのボメロプラスやボメロプレミアムとの比較でも興味深い。ボメロプラスはより厚いクッションと活発なバウンスを提供するが、重さが目立つ。一方、v15は軽量でバランスが良く、汎用的なデイリートレーナーとして機能する。ニューバランスのRebel v5やPumaのVelocity Nitro 4のような競合モデルと比べても、クッションの質で差別化を図っている。
ニューバランス1080v15は、初回のランを通じて信頼できるデイリートレーナーとしての役割を果たした。新素材のInfinionフォームは柔らかさを加えつつ、耐久性を考慮した設計で、市場のソフトクッション需要に応えるものだ。ただし、v14のスムーズな乗り味を好むランナーには調整が必要かもしれない。全体として、日常のジョギングからロングランまで対応する汎用性が高く、ニューバランスのクッションラインの進化を示すモデルと言える。将来的には、このような素材革新がランニングシューズ業界のスタンダードを変える可能性があり、ランナーは自身の好みに合った選択を検討すべきだ。
参考資料




































