ASICS NOVABLAST 5徹底レビュー:クッション革新の新基準 🏃‍♂️

ASICSの人気ランニングシューズ、NOVABLASTシリーズの最新作であるNOVABLAST 5は、ミッドソールの素材を一新することで、従来のモデルから大幅な進化を遂げた。軽量化と柔軟性の向上、反発力の強化という三つのキーワードが、このシューズの核心を表している。日常のトレーニングからスピードワークまで対応可能なデイリートレーナーとして、NOVABLAST 5はランナーの体験を再定義する可能性を秘めている。この記事では、過去モデルとの比較を通じてその特徴を詳しく分析し、ランニングシューズ市場における位置づけを探る。

:bar_chart: 過去モデルとのスペック比較

NOVABLASTシリーズは、世代ごとに微妙な調整を加えながら進化を続けてきた。NOVABLAST 3から4、そして5への移行では、ミッドソールの素材変更が最大のポイントだ。以下に、各モデルの主なスペックをまとめる。これらの数値は、公式サイトや信頼できるレビューソースから確認されたもので、US9(27cm)サイズのメンズモデルを基準としている。

項目 NOVABLAST 3 NOVABLAST 4 NOVABLAST 5
重量 253g 260g 255g
スタックハイト (ヒール/フォアフット) 41mm / 33mm 41.5mm / 33.5mm 41.5mm / 33.5mm
ドロップ 8mm 8mm 8mm
主な技術 FF BLAST PLUS FF BLAST PLUS ECO FF BLAST MAX
特徴 軽量で反発力が高いが、柔軟性に欠ける部分あり 環境配慮素材採用で柔らかさ向上、しかし重量増 軽量・柔軟・反発のバランスが優れ、安定したクッション
弱点 アッパーの通気性がやや劣る 重量増加による重さの感覚 高速ペースでの安定性がやや不足

この表からわかるように、スタックハイトとドロップはほぼ一貫しており、シリーズのアイデンティティを保っている。NOVABLAST 3は軽量さが際立っていたが、NOVABLAST 4では環境に優しい素材への移行に伴い重量が若干増加した。一方、NOVABLAST 5は素材の革新により重量を抑えつつ、柔軟性を高めている。これにより、ランナーは長距離走行時でも疲労を軽減できる構造となっている。こうした変化は、単なるアップデートではなく、ASICSの技術開発の方向性を示すものだ。

:person_running: ミッドソールの進化と走行感

NOVABLAST 5の最大の特徴は、ミッドソールに採用されたFF BLAST MAX素材にある。この素材は、従来のFF BLAST PLUS ECOから一新され、軽さ、柔軟さ、反発力の三要素を同時に向上させた。実際に20kmの走行テストでは、初めの1kmから最後の数kmまで、クッションの柔らかさが持続し、地面からの衝撃を効果的に吸収する感覚が得られた。

この進化は、自動車のエンジン換装に例えられるほど根本的だ。NOVABLAST 4までのモデルでは、柔らかさがやや控えめで、長時間の走行で底付き感が生じることがあったが、NOVABLAST 5ではそれが解消されている。反発力の向上により、フォアフット部分のトランジションがスムーズになり、ペースアップ時の推進力が自然に生まれる。テストでは、4分45秒/kmのペースを維持しやすく、18km以降でペースを4分30秒/kmまで引き上げても、ミッドソールのレスポンスが衰えなかった。ただし、高速域では若干の重さを感じる場合があるため、用途に応じた使い分けが重要だ。

こうしたミッドソールの特性は、ランニングの質を高めるだけでなく、怪我の予防にも寄与する。柔軟なクッションが膝や足首への負担を分散し、日常トレーニングの継続性を支える。ASICSの技術陣は、この素材を通じて、快適さとパフォーマンスの両立を実現したと言える。

:running_shoe: アッパーの設計とフィット感

アッパー部分では、NOVABLAST 5がNOVABLAST 3のエンジニアードジャカードメッシュに戻る形で変更された。この素材は、NOVABLAST 4のエンジニアードウーブンから一転し、通気性と伸縮性を重視した設計だ。発達部とサイドの組織を密に織り込むことで、サポート性を確保しつつ、足入れ時のフィット感を向上させている。

実際に着用すると、足の甲の高さが絶妙で、ワイズは標準的だが空間に余裕があるため、幅広い足型に適応しやすい。シューレースを締めた際の圧迫感を軽減するネオプレン調のタングが、快適さをさらに高めている。また、発達部の通気孔が効果的に空気の流れを促し、春から夏にかけての使用で優位性を発揮するだろう。ヒールカウンターの厚いパッドは、踵のロックダウンを確実に行い、長距離走行時の安定を支える。

このアッパーの変更は、シリーズのデイリートレーナーとしての性格を強調するものだ。NOVABLAST 4のウーブン素材が通気性を犠牲にしていたのに対し、NOVABLAST 5はジャカードメッシュの利点を活かし、全体の着用感を洗練させた。結果として、走行後の回復が速く、累積疲労を最小限に抑えられる構造となっている。

:shield: アウトソールの耐久性とグリップ

アウトソールには、ASICS独自のAHAR LO(アハー ロー)と呼ばれる高密度ゴムが使用されている。この素材は、柔らかさを保ちつつ耐久性を高め、通常のゴムの2倍から3倍の耐摩耗性を誇る。NOVABLAST 5では、フォアフット部分にトランポリン構造を採用し、反発力を最大化するデザインが継続されている。

この構造は、ミッドソールのFF BLAST MAXと相まって、着地から蹴り出しまでの流れをスムーズにする。柔らかいゴムが地面との接触を柔和にし、硬い素材のように反発を損なうことなく、耐久性を維持する点が優れている。テスト走行では、路面の変化に対するグリップが安定し、ウェットコンディションでもスリップを最小限に抑えた。

アウトソールの進化は、シューズの寿命を延ばすだけでなく、走行の効率を高める。NOVABLASTシリーズの伝統を継承しつつ、素材の柔軟化により、ミッドソールのポテンシャルをフルに引き出す設計だ。これにより、ランナーは多様な路面で信頼できるパフォーマンスを期待できる。

:balance_scale: 重量と全体のバランス

NOVABLAST 5の重量は255g(US9)と、NOVABLAST 4の260gから軽減され、NOVABLAST 3の253gに近い値に戻った。この軽量化は、ミッドソールとアッパーの素材変更によるもので、走行時の軽快感を直接的に向上させる。

インソールにはEVA素材が用いられ、衝撃吸収を補助する。フォアフットとヒールの厚さが適度で、クッションの均一性を確保している。全体として、デイリートレーナーとしてのバランスが優れており、20km以上のロングランでも疲労が蓄積しにくい。テストでは、ペース変動時のレスポンスが良く、軽さと柔軟さが持続した。

  • スペック

    • 重量: 255g (US9メンズ)
    • スタックハイト: ヒール41.5mm、フォアフット33.5mm
    • ドロップ: 8mm
    • ミッドソール: FF BLAST MAX
    • アッパー: エンジニアードジャカードメッシュ
    • アウトソール: AHAR LOゴム
  • 特徴

    • 軽量で柔軟なミッドソールによる優れたクッション
    • 通気性が高く、伸縮性のあるアッパー
    • トランポリン構造のアウトソールで反発力強化
  • :+1: 良い点

    • 長距離走行時の疲労軽減効果が高い
    • 通気性が向上し、季節を問わず快適
    • 反発力が強く、ペースアップをサポート
  • :-1: 悪い点

    • 高速ペースで若干の重さを感じる場合あり
    • 極端に狭い足型にはフィットしにくい可能性
  • 改善点

    • 高速域での安定性をさらに強化
    • 多様な幅オプションの追加

:magnifying_glass_tilted_left: 競合モデルとの位置づけ

NOVABLAST 5は、adidasのAdizero SLと類似した特性を持つ。Adizero SLはLightstrike Proミッドソールをフルレングスで使用し、エンジニアードメッシュのアッパーを採用。カーボンプレートなしで、純粋なミッドソールの感触を重視する点が共通だ。重量はAdizero SLが約238g(US9)と軽く、スタックハイトはヒール約35mm前後と低めだが、反発力のフィーリングが近い。

モデル 特徴 弱点
NOVABLAST 5 FF BLAST MAXによる軽量・柔軟・反発のバランス、通気性高いアッパー 高速時の安定性がやや劣る
Adizero SL Lightstrike Proの強力な反発、軽量設計で日常トレーニング向き クッションが薄く、長距離で疲労蓄積しやすい

この比較から、NOVABLAST 5はクッション重視のランナーに向き、Adizero SLはスピード志向に適する。市場では、両者が補完関係にあり、選択肢の多様性を高めている。

:memo: 結論

NOVABLAST 5は、ミッドソールの革新により、軽さ、柔軟さ、反発力の理想的なバランスを実現したデイリートレーナーだ。過去モデルからの進化は、ランナーの日常を豊かにし、トレーニングの質を向上させる。競合との比較でも独自の強みを保ち、幅広い用途に対応可能だ。将来的に、ランニングシューズ業界はこうした素材革新が主流となり、持続可能なパフォーマンスを追求する流れが強まるだろう。このシューズは、単なるツールではなく、ランニングの喜びを再発見させる存在としておすすめできる。


参考資料