サッカニーのエンドルフィン プロ シリーズは、カーボンプレート搭載のレースデーシューズでありながら、極端な不安定さを排した「誰でも扱いやすい」キャラクターで多くのランナーから支持を集めてきた。エンドルフィン プロ 5は、その良さをそのまま継承しながら、カーボンプレートの新設計とアウトソールの大幅強化によって、よりスムーズでポッピー、そして信頼感の高い走りを実現したマイナーアップデートモデルだ。
「尖りすぎない」スーパーシューズを探している中級〜上級ランナーにとって、2026年最も現実的な選択肢の一つになるだろう。
エンドルフィン プロ 5 の概要
エンドルフィン プロ 5は、前作エンドルフィン プロ 4の実測値と完全に同じスタックハイト・重量を保ちながら、走りの質を確実に向上させてきた。
最大の変更点は2つ。
① 新設計のスロット入りカーボンプレート(slotted flex geometry)
② Power Trackラバーへアップグレードされたアウトソール化合物
この2点により、前作で一部のランナーが感じていた「硬すぎるアウトソールでのスリップ感」がほぼ解消され、同時にプレートのフレックスが洗練されたことで、着地からトゥオフまでの流れが明らかに滑らかになった。
結果として「Pro 4を履いているけど、なんかもっとスムーズでグリップが良くて、推進力が少し強くなった気がする」——それが最初の10kmで得られる印象だ。
スーパーシューズ特有の「不安定で神経使う」感覚が極端に少なく、フルマラソン後半の疲労時でもヒール着地が増えてもブレない。これがこのシューズ最大の強みである。
基本スペック(メンズ27cm / US9実測値ベース)
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 重量 | 213g(メンズ27cm実測) |
| ヒールスタック | 39.5mm |
| フォアフットスタック | 31.5mm |
| ドロップ | 8mm |
| ミッドソール | PWRRUN HG(上層) + PWRRUN PB(下層) |
| プレート | フルレングススロット入りカーボンプレート |
| アウトソール | 新Power Trackラバー |
| 発売時期 | 2026年2月 |
重量・スタックはPro 4と完全に同一。なのに走りが別物に感じるのは、プレートとラバーの進化の賜物だ。
アッパーの進化とフィット感
アッパーは単層の通気性レースメッシュ+一体型舌構造に変更された。
見た目はPro 4とほぼ変わらないが、舌と襟周りの接合部がより滑らかに処理されており、ヒールロックが確実に向上している。
特徴的なのは相変わらずの「高容量」設計だ。
- 足入れするとすぐにわかる「ゆったり包み込む」感覚
- 伸縮性のあるニット舌が幅広・甲高・高ボリューム足にも対応
- 狭い足でも舌が重なってフィットする設計のため不快感はほぼなし
- ミッドフット〜フォアフットにかけて自然なトゥスプレイが可能
スーパーシューズの多くが「細身・低容量」で足を選ぶ中、エンドルフィン プロ シリーズは相変わらず「誰でも履ける」数少ない選択肢として君臨している。
実際に幅広甲高のランナーが「今までスーパーシューズで痛くなったことがないのはこれだけ」と言うほど包容力が高い。
ミッドソール&新カーボンプレートの乗り味
ミッドソール構成は変わらずPWRRUN HG(上層)+PWRRUN PB(下層)のデュアルフォームだが、新しく採用されたスロット入りカーボンプレートが乗り心地を劇的に変えている。
前作Pro 4のカーボンプレートは「硬くてポップだけど、少し直線的」だったのに対し、Pro 5はスロット(切り込み)が入ったことで縦方向のフレックスが洗練され、着地→荷重→蹴り出しの流れが極めてスムーズになった。
結果、スピードロールロッカー構造との相乗効果がさらに高まり、「勝手に前に転がっていく」感覚が強くなった。
特に印象的なのは、
・ペース3:50/km前後でもしっかりポップが返ってくる
・しかし4:30/kmくらいのジョグペースでも違和感が極めて少ない
という幅広いペース対応力だ。
多くのスーパーシューズが「速く走らないと返ってこない」に対して、Pro 5は「どんなペースでも気持ちいい」を実現している珍しい存在だ。
アウトソールの劇的改善
これが今回一番の進化ポイントと言っても過言ではない。
Pro 4のアウトソールは「硬すぎるラバー+クロスハッチパターン」で、ウェット路面や急カーブでスリップする報告が多かった。
Pro 5ではトレイルシューズで実績のあるPower Trackラバーに変更され、グリップ力が段違いに向上。
実際に雨上がりの路面やマンホールの上、急なコーナリングでも「滑る気配ゼロ」。
しかも耐久性も明らかに向上しており、200km走った現時点でも減りは最小限。
これまで「レース専用で寿命短い」イメージだった」エンドルフィン プロが、ようやく「練習でもガシガシ使える」領域に踏み込んできた。
実際の走行性能:安定性は相変わらず最強クラス
スーパーシューズでここまで安定性を提供できるシューズは、正直ほとんどない。
・スタック39.5mmながら横ブレが極めて少ない
・ヒール着地が増えてもふらつかないワイドなプラットフォーム
・疲労時のフォーム崩れでも推進力を維持
フルマラソン後半で「もう足が動かない…」という状態でも、Pro 5は驚くほど安定して推進してくれる。
エリートランナーではなく、サブ3〜サブ4を目指す市民ランナーにとって、これほど安心感のあるスーパーシューズは他にない。
実際のテストでは、30km走後半のペース4:10/km前後でも「まだ余裕がある」感覚があった。
良い点
- スーパーシューズ随一の安定性と包容力
- 新プレートによるスムーズ&ポッピーな推進力
- 劇的に改善されたグリップ力(特にウェット路面)
- 幅広・高容量足にも対応する稀有なフィット
- ジョグからレースまで幅広いペースで気持ちいい
- アウトソール耐久性が明らかに向上
悪い点・注意点
- ヒールカウンターが初回〜3回目くらいで一部の人に擦れ(ぼくは左足のみ軽い水ぶくれできたが、2回目以降は完全消失)
- 極端に狭い足の人は舌が重なる可能性あり(見た目は悪いが機能上問題なし)
- まだ「爆発的なポップ」を求める人にはAlphaflyやVaporflyの方が上(ただし不安定)
前作Pro 4との比較表
| 項目 | Endorphin Pro 4 | Endorphin Pro 5 |
|---|---|---|
| 重量(27cm) | 213g | 213g |
| スタックハイト | 39.5 / 31.5mm | 39.5 / 31.5mm |
| ドロップ | 8mm | 8mm |
| カーボンプレート | 従来型 | 新スロット入り(より滑らか) |
| アウトソール | 旧化合物(硬め) | 新Power Trackラバー(グリップ・耐久↑) |
| ヒールロック | 良い | さらに向上 |
| 総合的な乗り味 | ポップだがやや直線的 | スムーズ+ポップが両立 |
→ 重量・スタックが変わっていないのに、走りの質が明らかに違う。Pro 4所有者は「買い替え必須」レベル進化。
結論:2026年最も「現実的な」スーパーシューズ
エンドルフィン プロ 5は、決して「最速」ではない。
Alphafly 3やMetaspeed Sky Paris、Vaporfly 3のような「爆発的な推進力」はない。
だが「誰でも扱えて、フルマラソン完走後も笑顔でいられる」スーパーシューズという意味では、現時点で最強クラスだ。
幅広足、甲高足、安定性を求めるランナー、後半粘りたいサブ3.5〜サブ4狙いランナー、さらには「スーパーシューズは不安定で怖い」という人まで——
エンドルフィン プロ 5は、そうした「普通の速いランナー」たちにこそ、真っ先に試してほしい1足だ。
2026年のレースシーズン、あなたのレースデーシューズのファーストチョイスになる可能性は、極めて高い。